英国のタブロイドはしばしば、でっち上げ的記事を書くことで知られる。しかし、この金額に実現の可能性があるのかと聞かれれば、答えはイエスだ。この件に関してはソニー側もアデル側もコメントしていないが、だからといってこの話がデマだという訳ではない。
1億3000万ドルという金額は1人のアーティストに対する支払いとしては非常に莫大な額だ。しかし、音楽レーベルは優れたアーティストには大金を注ぐことで知られており、ホイットニー・ヒューストンやマライヤ・キャリーも過去に1億ドル以上の契約金を手にしている(この二人の場合は失敗だったと伝えられているが)。アデルに関し伝えられる金額は、それらの二人の歌姫が手にした額を大きく上回る。
アルバムが売れるアーティストが数少ない状況下で、アデルはヒットを連発している。ソニーが彼女をつなぎとめるため、大金を払うのは不思議なことではない。
アデルは過去3枚のアルバム(「19」、「21」、昨年の「25」)を合計5000万枚以上売り切った。彼女が人気を誇る米英やヨーロッパでの売上は数億ドルに達している。ソニーにとって1億3000万ドルは大金かもしれないが、アデルはすでにその数倍の売上を同社にもたらしているのだ。
金銭面以外でもアデルとソニーが手を組むことは理にかなっている。アデルはデビューから3枚目までのアルバム契約を、英国の独立系レーベルXLと行った。しかし、米国でアデルはソニー傘下のコロムビアレコードの所属となっている。
アデルの今日の成功はソニーとの取り組みによるところが大きい。彼女がこれまで成し遂げた前代未聞の成功ぶりを考えると、今回噂される契約額は決して法外なものとは言えないだろう。
今回の契約内容についての詳細はほとんど明かされていないが、金額から考えるとソニーは少なくとも1枚か2枚以上のアルバム契約を得ることになりそうだ。
これまで10個のグラミー賞を獲得したアデルが次のアルバムを出すのは、まだ先のことになりそうだが、次回も大ヒットになることは確実だ。正確な金額はアーティスト自身からもレーベル関係者からも明かされることは無さそうだが、今回のディールが音楽ビジネス史に残るものになることは間違いないと言えるだろう。