サンドバーグはそのほか、3つの「P」について語った。回復力について研究する心理学者らが「データに基づき」私たちに教えてくれる、悲劇や失敗、挫折から立ち直るために不可欠な「personalization(個人化:個人的な問題とみる)」「pervasiveness(遍在性:周囲には常にあらゆるものがあると知る)」「permanence(永続性:不変のものだけではないと知る)」だ。
「夫が亡くなったとき、私は多くの人たちと同じ反応をしました。自分を責めたのです…私には彼の死を防げなかったということを、この3つのPについて学んで初めて、受け入れることができました」
脳科学の分野では現在、物語を話すということに関するさまざまな研究が行われている。卒業生たちがサンドバーグの話に涙を流したのは、脳内化学物質オキシトシンの働きと関連している。その話を聞くための集中力にはコルチゾール、その場に立って話を聞いていることには、ドーパミンが関わっている。
しかし、脳科学が必ずしも明確な答えを示してくれないこともある。それは、私たち人間が感情的な、そして深いつながりをいかに築いているのかという点だ。
ウォルト・ディズニーはかつて、物語を話すことは人に何度も何度も、繰り返し希望を与えるのだと語った。私たちには、サンドバーグのように物語を語ってくれるリーダーが必要だ。それは、そうした人たちが私たちに希望をくれるからだ。
サンドバーグは、こうも語った──「悲劇や失望に襲われたときにも、皆さんにはそれを乗り越える力があるのだということを忘れないで下さい。必ず“何でも”乗り越えられるのです。絶対に」