だが、彼はリズムや波ばかりではなく、景気の波も巧みに乗りこなしてきた。今、最もアツい「ヘッジファンドの帝王」だ。
大学を卒業後、音楽家を志して西海岸へ飛んだミュラーだったが、生活のために投資ツール開発大手バーラに就職。高度の数学テクニックとコンピュータへの深い理解を武器に、米証券会社モルガン・スタンレーの「プロセス・ドリブン・トレーディング(PDT)」部門を仕切るようになった。
2012年に独立し、PDTパートナーズを創業。同社が運用する30億ドル規模のファンドは15年11月までに21.5%も上昇。約40%のリターンを出すなどすでに結果を出している。
だが、ミュラーは“クオンツ時代”はまだ始まったばかりという。「クオンツこそが、最もいい資金運用の方法だ。断言するよ」
ピーター・ミュラー◎ヘッジファンド「PDTパートナーズ」の創業者兼CEO。プリンストン大学を経て、米投資ツール開発大手「バーラ(現MSCIバーラ)」に就職。モルガン・スタンレーを経て、現職。45億ドルを運用し、顧客に投資会社ブラックストーンなどを抱えている。投資モデルに関して徹底した秘密主義を貫いていることでも有名。