だが、フォーブスがこのほど発表した2016年版「世界の最も価値あるブランド」ランキングでは、アップルは依然として首位を維持した。ブランド価値は2位のグーグルより87%多い1,541億ドル(約16兆7,969億円)となっている。
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マーケティングとブランディングが専門のペンシルバニア大学ウォートンスクールのデービッド・レイブスタイン教授は、「ブランドの価値は、顧客の受け止め方次第で決まる」「企業の側からいえば、ブランドの価値を高めるのは顧客がその製品に高額を支払うのか、購入してくれるかどうかだ」と指摘する。この2つのどちらの基準からみても、「アップル」は価値の高いブランドということになる。
「アップルファイル(Apple-phile)」と呼ばれる熱烈なファンたちは、同社に対する冒とくだと嘆くだろうが、アップルのスマートフォンはサムスンの最新型のスマホとそう大きく変わらない。それでも、より高額なアップル製品は昨年のクリスマスシーズンに米国市場で販売されたスマホのおよそ半数を占め、世界市場全体では約7,500万台を売った。
コンシューマーテクノロジーの分野では、特にブランドが重視される。売上高は確かに減少したが、それでもその中で優勢を維持するアップルは、新たにiPhone 7を発表する時には再び多くのファンを店舗の前に集め、そこには長蛇の列が作られることになるだろう。
スティーブ・ジョブズはかつて、「思い出を作る機会は、ブランドマーケティングの核心だ」と語ったことがある。アップルは音楽、携帯電話、コンピューターを通じて顧客とのつながりを生み出すことにより、それを実現した。そして同社は今、(アップル)ウォッチとテレビ、決済サービスによってもう一度、同じことをしようとしている。
2位はグーグル
インターネットで検索をするとき、ほとんどの人はマイクロソフトの「Bing(ビング)」ではなくグーグルを使う。検索結果はそれほど違わないはずだが、そうするのは「グーグル」というブランドのためだ。
「google(ググる)」は検索することを意味する一般的な言葉になっている。これは、ブランディングの究極の力といえる。一方、レイブスタイン教授は同社がロゴを毎日変えてホームページ上に表示していることについて、畏敬の念さえ持つと話す。ブランディングについて誰もが教えていることに対しての、“アンチテーゼ”だというのだ。
企業の中には監視部門を作り、自社のロゴがどのように使われているかを調査しているものもある。ロゴが適切なフォントとカラーで表示されていることを確認するためだ。だが、グーグルはそれとは違う。