配車サービス大手のリフト(Lyft)は3月29日、サンフランシスコのベイエリアで相乗り通勤サービス、リフト・カープール(Lyft Carpool)を立ち上げた。車で通勤するドライバーが、簡単に相乗り客を見つけ、通勤費を抑える手段を提供する。
このサービスには、ベイエリアの郊外からからサンフランシスコに車で通勤する人たちがドライバーとして登録。乗車依頼は前日にアプリ経由で受け取るため、リクエストを待つ必要はない。ドライバーは1名の相乗り客から最大10ドルが得られる。乗客は距離に応じて4~10ドルを支払う。
リフトのプロダクト担当レブ・ポポブ(Lev Popov)はフォーブスに対し、相乗りサービスでは当初は手数料を取らないと説明した。
「最大の目標は利益を上げることではなく、交通量を減らして誰も座っていない座席を有効活用することです。もちろん長期的には我々のビジネスの一端を担うようになってほしいと期待しています」
米国人の76%は「一人でマイカー通勤」
配車サービス各社が、これまで相乗り通勤サービスで成功を収めた例は無い。以前からリフトは相乗り通勤を呼びかけており、ドライバーが目的地を設定し、走行ルートに近い乗客を拾える機能を導入したほか、都市部で同じ方向に向かう乗客らをマッチングするリフト・ライン(Lyft Line)というサービスも導入してきた。
また、そもそもリフトは都市間の乗り合い通勤サービスZimrideから生まれたアプリだ。ウーバーも類似したサービス、ウーバー・コミュート(UberCommute)を中国で試験的に運用している。
相乗り通勤サービスは巨大なポテンシャルを秘めている。通勤で利用される車は、タクシーよりも多いのだ。リフトによるとアメリカ人の76%が1人でマイカー通勤しており、ベイエリアの通勤者は2015年に平均75時間を渋滞の中で過ごした。カリフォルニア州オークランドでは簡単に乗り合い通勤ができるCasual Carpoolという仕組みがあり、すでに多くの人が利用している。
リフト・カープールは将来、交通量を減らし、リフトに利益をもたらすかもしれない。しかし、成功を収めるには同社のエミリー・キャスター(Emily Castor)が語る“鶏が先か卵が先か問題”を乗り越えなくてはならない。
これまでの相乗り通勤サービスは規模が小さく、ドライバーと乗客のマッチングが十分ではなかった。ドライバーと乗客の双方が満足できる、調和のとれたサービスが期待されている。