その最初のプロジェクトのひとつは、スタンフォード大学とタフツ大学の研究だ。これは両大学との「リサーチパートナーシップ」の一環で、同財団は8年間にわたり2,000万ドル(約22億6,000万円)を出資し、大学側もそれぞれ1,000万ドルを拠出することになっている。スタンフォード大学の研究チーム(代表:Markus Covertバイオエンジニアリング助教)は、細胞間の相互作用を明らかにするコンピュータモデルを作成する。また、タフツ大学の研究チーム(代表:Michael Levin生物学教授)は、細胞ネットワークによるアルゴリズムを解読し、それをコントロールする研究を行う。
財団はまた、それぞれの分野で先駆的な研究を行う4人の科学者に100万~150万ドルを出資すると発表した。ゲノム編集技術「CRISPR」の開発に携わったカリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ(Jennifer Doudna)教授もその1人だ。彼女はこの資金で、RNA(リボ核酸)を対象とした遺伝子編集の新たな方法を探る。
「社会に変革をもたらすような科学の発展のため、斬新なアイディアを持つ科学者らに投資する必要があります。危険を冒さなければ、結果は得られません。これまでにない新たな発想で取り組まなければ、我々が求める答えは永遠に見つからないかもしれません」と、アレンは述べる。
2度のがんから生還したアレンは、これまでに20億ドル(約2,260億円)以上を慈善活動に寄付している。彼の非営利研究グループ「アレン研究所」は、2003年に脳科学研究所を、2014年には細胞科学研究所を設立した。フォーブスの推定では、彼の資産総額は177億ドル(約2兆円)、世界で45番目の富豪だ。