「近年、Xiaomiなど低価格スマホメーカーが大きく成長しました。私たちのビジネスモデルは低価格スマホの収益の最大化です」
そう話すのはシンガポールに本社を置くグローバルスタートアップ「Gooute(グート)」CEOの横地俊哉。横地は2014年頃からスマホ市場に参入し始めたメーカー群に着目する。
市場調査会社IDCによれば、15年第3四半期の世界スマホ市場の出荷台数は約3.6億台。このうち、約45%を占めるのが、アップル、サムスンなどの大手メーカーではない「その他」のメーカーだ。大手メーカーのスマホの設計・生産を行う下請け開発会社の「ODM企業」が多数含まれる。ここ数年、開発の知見を持つODM企業がスマホメーカー化し、低価格スマホ市場に参入する事例が中国を中心に激増したのだ。
「私たちの狙いは、ODM企業とパートナーを組みながら、低価格スマホを世界規模で儲かるビジネスにすることです。そのための手法が、広告メディアとしての低価格スマホのプロデュースなのです」(横地CEO)
「日本発のデザイン、UI、サービスを世界市場へ」と、Goouteが意気込んでプロデュースするAndroid端末「ARATAS」は、世界最大級のアドネットワーク企業「InMobi(インモビ)」と連携したアドテクを活用したサービスやUIを搭載する。ユーザーに最適化された広告が、使い勝手を考慮し設計された独自のUIで提供される。
家電メーカー「amadana」のデザイナーであった鄭秀和が代表を務めるインテンショナリーズがデザインした端末「ARATAS」には、キュレーションメディアやコンテンツ・情報を発信するサービス「ARATAS.NET」がプリインストールされており、端末の販売収益だけでなく、ユーザーが増え、サービスが使われるほどにGoouteとパートナー企業へ広告費が支払われる仕組みだ。
それは“ガラケー”の雄・ドコモが日本中に携帯電話を普及させ、自社のサービスを利用させた「iモード」の戦略を彷彿とさせる。
Goouteはすでにアメリカ、南米、スペイン、フランス、インド、フィリピン、インドネシアのメーカーとの提携が決まっており、ARATASを採用した端末はこの1年で5,000万〜1億台の製造を予定しているという。
この新しい「日本発ビジネスモデルの輸出」のガラケー戦法は、低価格スマホの新しい世界市場を獲れるのだろうか。