フォーブスは2014年6月からの一年間に最も収入が多かった俳優の受賞歴について調査を実施。同賞が俳優の収入にどの程度の影響をもたらすのか明らかにしようと試みた。その結果、稼ぎの多い女優は男優以上に、高額の報酬を得ることで認知度が大幅に引き上げられることが分かった。
収入自体は上位だけをみても、女優よりも男優の方が高額だ。一方で、アカデミー賞を獲得する確率は、高収入の男優よりも女優の方が高い。メリル・ストリープ(アカデミー賞のノミネートは19回、昨年の収入は税引き前で800万ドル、約9億円)をはじめとする最も高収入の女優18人のうち、オスカーを獲得した人は半数に上る。
それと比較すると、収入の上位34人までの男優のうち、オスカー賞に輝いた経験があるのはわずか6人。このほか9人がノミネートはされているが、受賞には至っていない。ロバート・ダウニー Jr.は2015年、世界中で最も多い8,000万ドル(約91億円)を稼いだものの、受賞歴のない俳優の一人だ。
高額の収入と受賞の栄誉を同時に手にすることができない理由としては、興行的に大成功した作品にオスカー賞が贈られるケースが非常に少ないことが挙げられる。高額報酬の男優は大半が、莫大な予算をかけた大ヒット作への出演によって多額の収入を得ている。一方、女優はより多くが、『ハンガー・ゲーム』3部作に出演したジェニファー・ローレンスや「ブラック・ウィドウ」を演じたスカーレット・ヨハンソンのように、シリーズ化された作品に出演したり、高報酬の広告契約を結んだり、批評家から高い評価を得られそうな低予算の映画に出演したりするなど、バランスの取れた活動を行っている。
だが、注意すべき点は、女優がそのように活動することには理由があるということだ。女優には男優ほど、巨額の興行収入が見込める役柄自体が存在しないのだ。カリフォルニア大学アネンバーグ・コミュニケーション・ジャーナリズム学部が今年発表した調査結果によると、米国の人口の約半数が女性である一方で、セリフがある映画の配役のうち、女性の役は28.7%にすぎない。これらを考慮すれば、ローレンスが25歳にして成し遂げたことの偉大さがよく分かる。