最近の投資ラウンドで7億ドル(約800億円)以上を調達し、15億ドル(約1,710億円)の価値があると評価されたJetはアマゾンが支配しているオンライン通販市場でのシェア拡大に苦戦している。Hayneedleを買収することによって、年間3.5億ドル(約400億円)以上を売り上げるとも言われる、中庭用のグッズからペット用品までがそろう通販サイトを手に入れることになる。
Jetの創業者でCEOのマーク・ロアはフォーブスのインタビューで、今回の買収は「たまたま良い相手が見つかったから」と述べており、業務拡大のために念入りに買収相手を探していたわけではなかったと語った。加えて、Hayneedleはニッチなマーケットを開拓した企業だと評価した。
「一般的に量販店は“家庭用品”という利益率は高いがロングテールなカテゴリーで苦戦するものだ」とロアは言う。「(買収は)我々にとってこのカテゴリーでの販売促進につながる」
Jetでは現在80万点の家庭用品を取り揃えているが、Hayneedleを買収することで“数百万点”を追加できる。同社はカリフォルニア州とオハイオ州にあるHayneedleの倉庫も手に入れることになる。Omaha World-Herald紙の報道によると、HayneedleはJetの子会社として業務を継続し、およそ500人の従業員も解雇しない。
Hayneedleは2002年にハンモック・ドットコムとして産声を上げ、その後共同創業者のDoug NielsenとJulie Mahloch、Mark Hasebroockがニッチジャンルに特化したサイトを次々と立ち上げた。2006年にセコイア・キャピタルの出資を受けたのち、多数立ち上げたサイトをHayneedle.comにまとめた。
家庭用品はサイズが大きくてかさばることが多くロジスティクスや配送における負担となるため、アマゾンはまだ参入しておらず、ボストンに本拠地を置くWayfairやHayneedleにとってビジネスチャンスが残されている。ロアは継続的に投資することによりHayneedleを成長させる意向だ。
Jetは2015年度に、5億ドル(約570億円)の目標売上を達成したという。今後の買収の予定はなく、2016年第1四半期の業績は2015年の同時期を上回るペースだとした。