ビジネス書の人気の傾向を探れば、世の中の動きが見えてくる―。
「シリコンバレーで流行っている経営の考え方や技術を学びたいといった『グローバル志向』と日本の地域やコミュニティに深く分け入る『ローカル志向』に触れたいという二極化、ということが、昨年の人気のビジネス書の傾向を見て、読み取れるのではないでしょうか」
グロービス経営大学院の田久保善彦氏は「読者が選ぶ ビジネス書グランプリ 2016」の結果をこう分析する。トヨタ自動車が今年1月に人工知能技術の研究・開発を手掛ける「トヨタ リサーチ インスティテュート」を米国カリフォルニア州に設立するなど、シリコンバレーが新しいビジネスやテクノロジーの聖地として不動の存在であることは変わらない。一方で、「地域活性」に着目する企業人や起業家が増えてきていることも確かだ。その傾向は、ビジネス書選びにも表れてきている。
ビジネス書要約サイト「フライヤー」は、グロービス経営大学院の協力を得て、今年2月、グランプリの結果を発表。投票は、グロービス教員、受講生、卒業生、フライヤー会員によって実施。選考の対象となったのは、14年12月から15年11月の期間に刊行されたビジネス書のうち、「フライヤー」で話題になった書籍と、グロービス経営大学院の教員が薦める書籍の合計63冊。4部門(次頁参照)に分けられ、投票者は部門それぞれの最も秀でた1冊とグランプリ1冊を選定した。
ビジネス書グランプリ(総合)
グローバルな変化を追う書籍が上位を占める
1位:『イーロン・マスク 未来を創る男』(アシュリー・バンス/講談社)
2位:『21世紀の資本』(トマ・ピケティ/みすず書房)
3位:『HARD THINGS』(ベン・ホロウィッツ/日経BP社)
4位:『ワーク・ルールズ!』(ラズロ・ボック/東洋経済新報社)
5位:『世界はシステムで動く』(ドネラ・H・メドウズ/英治出版)
6位:『シンプルに考える』(森川亮/ダイヤモンド社)
7位:『ALLIANCE アライアンス』(リード・ホフマン他/ダイヤモンド社)
8位:『未来に先回りする思考法』(佐藤航陽/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
9位:『新・観光立国論』(デービッド・アトキンソン/東洋経済新報社)
10位:『マクドナルド失敗の本質』(小川孔輔/東洋経済新報社)