ビジネス

2016.01.28

クレディ・スイスが選んだ「日本の凄いスタートアップ 」とは?

Photo by Hellen Grig / shutterstock.com

Forbes JAPAN」は12月1日、「日本の起業家ランキング」の表彰式および記念イベントを開催した。
「クレディ・スイス賞」(Credit Suisse Japanese Entrepreneur Award)は、同イベント協賛企業のクレディ・スイス証券/銀行が、弊誌ランキング評価委員会による審査とは別に、同社の独自審査によって受賞者を選出した。

選考理由
クレディ・スイス賞受賞者を選ぶうえで重視したのは、「世界に通用する技術、ビジネスモデルであるか」「将来、社会的に大きなインパクトを与える可能性があるか」の2点です。

今回、Spiberの関山和秀CEOを選出した理由は、
1.「人工クモの糸」という技術的に非常に難しいことにチャレンジしている志の高さ、
2.慶應義塾大学大学院在学中に研究仲間と起業し、まだ32歳という若き起業家である点、
3.実現すれば、社会的に大きなインパクトを与えることが期待できる点、
4.さらに、実際に政府のサポートも受けつつ、大企業とも提携し、それを大きな資金調達、事業化へつなげていること―の4つです。

Spiberは今年10月、スポーツウェアのゴールドウインと資本業務提携し、共同記者会見では、「人工クモの糸」をゴールドウインの「THENORTHFACE」シリーズのダウンジャケットに使用することを明らかにしました。また同時に、約96億円の資金調達をしたことも発表しました。

しかし、Spiberの優れている点は、人工クモの糸を使った強靭なダウンジャケットの製造にとどまらないことにあります。今後の事業展開として、ビジネス化が比較的容易なアパレルからスタートし、輸送機器関連や建設関連へ事業を広げていくという中長期的な戦略を描いており、それがゴールドウインをはじめ企業・投資家から評価され、大型の資金調達を実現させています。
Spiberの関山CEOには、「志」を実現し、山形発で世界に向けて大きな社会的インパクトを起こすことを期待しています。


大橋雅英
クレディ・スイス証券/クレディ・スイス銀行東京支店
マネージング・ディレクター、
プライベート・バンキング本部共同本部長



おおはし・まさひで◎シティグループなどを経て、HSBCの日本におけるプライベート・バンキング部門を統括。同部門のクレディ・スイスとの統合に伴い、2012年にクレディ・スイスに入社し、現職。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.18 2016年1月号(2015/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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