Fitbitはスマートウォッチの分野でアップルの競合となりたい、とは一言も言っていないが、世間がそれを期待してしまったのだ。
Fitbitの2015年第3四半期の業績発表の場でジェームズ・パークCEOは「アップルウォッチは弊社の業績に重要な影響を及ぼさない」と述べ、コストやユーザーエクスペリアンスにおいて「同じ市場の中の全く違うセグメントに位置する」と説明した。
だが、Fitbitの第3四半期の業績が世界のウェアラブル関連企業の中でトップであったことも期待が膨らんだ要因だ。同社のリストバンド製品は480万台が売れ、売上は前年同期の1億5,290万ドル(約180億円)から4億930万ドル(約480億円)まで上昇した。さらに同社は第4四半期の売上見通しを6億2,000万ドル(約730億円)とした。
その結果Fitbitは成功の代償を払うことになった。同社は創業わずか8年であり、PCではなく健康管理デバイスのメーカーであり、アップルと比べれば熱心なファンやエンジニアの数も完全に劣っている。
しかし、アップルとわずかでも関連する製品を販売するだけでアップルと比較されてしまう世の中だ。Fitbitにとってはある意味栄誉であるかもしれないが。
新製品のFitbit Blaze自体に問題はない。確かにサードパーティーのアプリには対応していないが、優れた基本機能を搭載したFitbit Charge HRの後継製品としては評価できるだろう。
しかし、昨年12月にパークCEOが「血圧や負荷など運動パフォーマンスに関する数値を記録できるセンサーを搭載した」とコメントしたことで、期待値が上がってしまったのだ。
世間が求めたのはApple Watchのライバルとなる製品だったが、発表されたのは見た目も簡素な運動管理デバイスであり、期待を裏切るものとなってしまった。
Fitbitが背負った成功の代償はあまりにも大きいと言わざるを得ないだろう。