チポトレは、規制当局に対する報告書で、昨年12月の既存店ベースの売上高が30%急落したことを明らかにした。
同社は、現在、第4四半期の既存店ベース売上高が14.6%減になると予測している。この数字は、8%から11%だった当初の予想を大きく下回る。昨年11月の売上は16%減と、信用回復への取り組みも虚しく、業績悪化を如実に反映する数字となった。
米クレディ・スイス証券のアナリスト、ジェイソン・ウェスト氏は言う。「食中毒事件の発生と、マイナスイメージを増長する報道が売上げにダメージを与えた。これ以上ネガティブなイメージが広がれば、同社にとっては命取りです」
チポトレはまた、昨年8月にカリフォルニア州シミバレーの店舗で発生したノロウィルスによる集団食中毒事件関連の訴訟に対する強制調査で、州連邦起訴陪審の召喚を受けたことについても報告した。同社に対する捜査は、米食品医薬品局(FDA)による捜査と同時進行で進められている。
昨年10月、大腸菌による集団食中毒の発生源として、最初にチポトレのチェーン店が浮上したのは、ワシントン州シアトルとオレゴン州ポートランドだった。この時の菌株を発生源として、全米9州で少なとも53人が発病しており、その後、ボストン・カレッジの学生141人がキャンパス近くのチポトレで食事をした後、ノロウィルスによる食中毒を発症。米保健当局は12月末の時点で新たに発生した大腸菌による食中毒を対象に調査を進めているとした。
チポトレのスティーブ・エリスCEOは、同チェーンを「最も安心して食事が出来るレストラン」に生まれ変わらせると公言し、同社は、昨年10月以来、食の安全性を回復する取り組みを実施してきた。
当然それなりのコストも発生する。同社は、食品サンプルの試験調査、食品安全管理の専門家の雇用、該当店舗の在庫入れ替えなど、第4四半期だけで、1,400万~1,600万ドル(約16億4,000万~約18億8,000万円)が該当費用として発生していると見積もっている。
チポトレは、これらの費用がかさんで収支を圧迫し、第4四半期のEPSは一株当たり1ドル70セント~1ドル90セントと予想している。当初、同社はアナリスト予想だった4ドル9セントを大きく下回る2ドル45セント~2ドル85セントを想定していたが、この度の予想は、この数字をさらに大きく下回ることになる。
集団食中毒事件が問題化して以来、チポトレの株価は40%近く大暴落したが、1月6日の時間前取引では更に3%下げ、1株436ドル9セントとなった。