私はよく、チームでどのAIツールを使っているのかと聞かれる。正直に答えると、かなり多くのツールを使っている。
自分のAIスタックについて聞かれると、口を濁す人がいることに気づいた。ツールを明かすと、自分の秘伝のタレを手放すことになると思っているのだろう。
だが、そうではない。
前回の記事では、AIをキッチンのように捉え、望む結果が得られるまでさまざまな材料(ツール)を試して組み合わせる場所として扱うべきだと書いた。
ここで、私のパントリーに何が入っているのかを少し覗いてみよう。
モデルとアシスタント: ChatGPT(全モデル)、Claude(全モデル)、Microsoft Copilot、Google Gemini、Perplexity、Notion AI、Gemma(Google DeepMind)、Qwen、GPT-OSS(OllamaおよびLM Studio経由)。
デザイン、画像、動画: Adobe Firefly、Higgsfield AI、Kling AI、Midjourney、Nano Banana、Runway、Google Veo(Google DeepMind)、Pika、ChatGPT Images、Claude Design、Figma Make、Figma Weave、Gamma、Canva、Krea AI、Magnific AI、Freepik AI tools、Evoto AI、Artiphoria AI、Artlist AI tools、ComfyUI。
オーディオ、音声、音楽: ElevenLabs、DaVinci Resolve Neural Engine、Suno、ElevenMusic。
構築と開発: Claude Code、OpenAI Codex、Cursor、GitHub Copilot、Lovable、Replit、Figma Make、Supabase、Algolia、Vercel。
知識と調査: Fathom AI Notetaker、Google NotebookLM、Notion AI、ChatGPT(全モデル)、Claude(全モデル)、Perplexity。
自動化: n8n、Zapier。
リストはこれだけではない。Adobe、Canva、Figma、Notion、Premiere Pro、DaVinci Resolveなど、すでに使っているツールにも独自のAI機能が組み込まれている。さらに、自社独自のAIツールやワークフローも構築中だ。
パントリーにツールを揃えるだけでは十分ではない。必要なレシピが自動的に手に入るわけではないからだ。どのAIツールをいつ使うべきか、そしてAIを使うべきでないのはいつか——これを理解してはじめて本当の価値が生まれる。私ならまず、チームがすでに行っている業務、ユースケース、ワークフローを見直し、「AIによってどこが改善できるか」を自問するだろう。
私はマーケティングのほぼすべての側面でAIを活用している。リサーチ、戦略、消費者インサイトから、クリエイティブ開発、コンテンツ制作、動画、デザイン、コーディング、自動化に至るまでだ。単に作業を速くするためではなく、構築・創造・実行の方法そのものを再考するために、常にさまざまなモデルやプラットフォームを試している。
仮説に挑戦してアイデアを探求するのに役立つツールもあれば、コンセプトを具体的なクリエイティブ資産やプロトタイプに変えるのに役立つツールもある。しかし、AIを多く使えば自動的に良い仕事ができる、とは思っていない。本当の優位性は、どのツールをいつ使うか、どこで人間の判断が差を生むかを知ることから生まれる。もしAIで創造するよりも、AIを修正する時間のほうが長いなら、それはイノベーションではない。別種の非効率にすぎない。
こうしたことすべてに圧倒され、AIというゲームを見送る、あるいは様子見にしようと決めたくなるかもしれない。だが、それも賢明な判断ではないと思う。先送りにし続ければ、業界での存在感を急速に失い、会社が時代遅れになるリスクを負うことになる。
リーダーが自社にAIを導入し続けるなか、トレーニング、ガードレール、コンプライアンスは計画の一部として必要だと私は考えている。とはいえ、明確な境界を設けたうえで、実験する余地も人々に与えるべきだ。どのツールが承認されているか、どの情報を使えるか、どこで人間のレビューが必要かを伝えておくこと。チームメンバーに「AIを学べ」と丸投げして自力で理解させるのは、大きな間違いだと思う。
チームの未来と会社の成功は、自分の責任だと考えている。私はそれを真剣に受け止めている。だからこそ、リーダーとしてAIを学ぶことを最優先事項のひとつにしている。リーダーはAIに実際に触れる必要があると信じている。これらのツールが実際に何ができるのか、どれほど急速に進化しているのかを理解することで、より賢明な投資判断ができ、明日の基準を設定し、今日の新しい機会を見出すことができる。変革を傍観者の立場からリードすることはできない。実験し、自らの考えに疑問を投げかけ、まず自分自身が進化する覚悟が必要だ。チームの試行錯誤任せにするのではなく、前線に立って導くのだ。
そして、このアプローチは実を結んでいる。私は「良い」とはどういうものかを知っている。クライアントへの提供価値をAIがどこで高められ、どこで足りないのかを理解している。私にとっては常に、イノベーションと限界設定のバランスをどう取るかが焦点だった。
このAI主導の世界を航海する中で得た教訓のひとつは、どんなトレーニングプログラムも、実践的な使用に代わるものはないということだ。実験せよ。学べ。素早く失敗せよ。素早く転換せよ。機敏であれ。好奇心を保て。
私の見方では、この世界に飛び込もうとするすべての人にとって、本当のスキルはプロンプトを書くことではない。AIを使って業務を最適化する方法を理解することだ。つまり、プロトタイプのデモが終わった後、実際のビジネスで機能させることを意味する。AIの導入には明確なオーナーシップと説明責任が必要だ。ツールをワークフローに統合し、チームを訓練し、品質基準を維持することまで含めてだ。また、ツールにかけている費用と、その結果が見合うかどうかも見極める必要がある。結果は改善しているか。再現可能か。全体を通して一貫して機能するか。
この転機を運任せにしてはならない。破壊は機会を生む。だから、飛び込もう。リーダーよ、未来を切り拓くためにAIを使いこなす方法を、真っ先に学ぶのだ。待って取り残されるリスクを冒してはならない。



