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2026.11.04 09:26

AIが「人」になるとき、科学が果たす役割

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落ち着いてほしい。まだシンギュラリティ(技術的特異点)の話をしているわけではない。

AIエージェントに名前を付けて少しパーソナライズし、タスクの委任をより自然に感じられるようにするという考え方だ。GPTなどのモデルに新しく開発された音声モードのおかげで、音声で会話することもできる。

いろいろと調べているうちに、Atomic Botの記事を見つけた。筆者は「コンシェルジュ・クララ」のようなキャラクターを考案し、ボットを擬人化することのメリットとデメリットを説明している。特に気に入ったのはその後半部分だ。

「名前は1〜2音節に抑え、他言語で奇妙な意味にならないか確認すること」

AIに付けた名前が、世界の別の地域の人々にとって侮辱的なものだったら、気まずいことになるだろう。

とにかく……。

AIに「職業」を与えることも可能だ

さらに一歩進めて、AIという存在に役職や職業を与えることもできる。まもなくAI医師やAI教師、もしかしたらAIタクシー運転手も登場するだろう。もっとも、それには強い不安を覚える人も少なくない。

今年9月にカリフォルニア州マウンテンビューで開催されたイベント「Next Endeavor」で聴いたプレゼンテーションで、気に入ったことの1つはそのタイトルだった。「AI科学者の到来:私たちは彼らを信頼できるか?」というものだ。

これもまた、AIの「職業」の時代が到来していることを示す一例だと感じた。だが同時に、これは科学についての話でもある。それについて少し掘り下げてみよう。

概念的な議論に入る前に、Molecule.oneのパネリストであるピョートル・ビルスキ(Piotr Byrski)は、「マリア(Maria)」という人間ではないキャラクターを紹介した。

「私たちがマリアを作りました」と彼は説明した。「マリアは、化学分野で自律的な研究を行うことができる物理的なAIシステムです。彼女はAI部分、つまり文献調査から実験設計、データ分析に至るまでの科学ワークフロー全体を実行できる複数のエージェントと専門モデル群と、実験が実行され現実世界からのフィードバックが得られる専用設計のラボとで構成されています」

Copilotが教えてくれた、マリアの注目すべき成果の1つは次の通りだ。

「2026年のOpenAIとの画期的なコラボレーションにおいて、マリアAIとGPT-5.4は、医薬品における炭素-窒素結合を形成する重要な手法であるチャン・ラム(Chan-Lam)カップリング反応を最適化した。AIは第一級スルホンアミドを難易度の高い基質群として特定し、TEMPOのような温和な酸化剤の使用を提案した。マリア・ラボは2サイクルにわたって10,080件のマイクロリットル反応を実行し、ボロン酸の88%、スルホンアミドの83%で収率を改善した。平均収率は16.6%から25.2%に上昇し、収率30%以上の反応の割合は15.6%から37.5%に増加した」

彼女に見事な賞を贈りたくなる結果だ。

科学をさらに掘り下げる

Talaria Scientificのパネリスト、スコット・クラーク(Scott Clark)は、AI時代における役割について科学者がいま考えなければならない重要な事柄のいくつかに言及した。

「2つの概念の間に緊張関係があると思います。ひとつは『苦い教訓(bitter lesson)』で、データ量を増やせばあらゆる問題が解決するというものです。自然言語処理やコンピュータビジョンのために特徴量エンジニアリングをする必要はもうない、と。しかし一方で『ノーフリーランチ定理』という概念もあり、より優れた事前知識を持つ特化モデルは汎用モデルを打ち負かすことができるというものです」

このグループは、エージェント型システムに伴うトレードオフについても議論した。

「やるべきことは、現在のラボに適応できるAIを作ろうとすることです」とビルスキは述べた。「時間が経つにつれ、私たちの考えが正しかったことが証明されたと思います。本来は逆であるべきだったのです。実験のやり方を、計算側で達成したことに合わせて適応させようとすべきであり、その逆ではありません」

「実験の事前設計と、それをロボティクスへ変換する部分にAIを使えるでしょうか」と、Potatoのパネリスト、ニック・エドワーズ(Nick Edwards)は述べた。「通常、これを手作業で行っているのは科学者です。科学者はそれをエンジニアに引き渡し、エンジニアが装置上で動かすためのスクリプトを書かなければなりません。ですから、あなたが話しているようなエージェントが使うツールに、こうしたワークフローを実際に組み込むことが重要です。そうしたツールは現在、人間がプロセスを速め、反復回数を減らし、サイクルを短縮するために使えますが、同時にエージェントも使えるようにするものでもあります」

「根本的に、私たちも同じようなトレードオフを多く見てきました」とクラークは付け加えた。「探索(exploration)と活用(exploitation)の問題です。実は、多くの弱い推定器が、基盤となる空間とモデルについてできる限り多くを学ぶ探索フェーズでは、実際により優れていることがあります。そしてその後、非常に高価なシステムで活用するのです」

幸運な失敗

この話で私が気に入ったもう1つの点は、ビルスキが「エンジニアリングされたセレンディピティ(engineered serendipity)」という言葉について語った場面だった。

「科学の歴史は、幸運によって切り開かれてきた部分がとても大きいのです」とペニシリンを例に挙げながら彼は語った。「私たちは幸運を得られるよう自らを設計することができます。なぜなら、非常に多くの実験を実行でき、それらを分析できるからです。だからこそエンジニアリングされたセレンディピティと呼ぶのです。何かを発見する態勢が整っている、というのも、これほどのデータの中に科学的知識が何も眠っていないはずがないからです。それが私を非常に興奮させるのです」

そして、進歩のスピードもある。

「かつて博士課程で6カ月かかっていたことを、今は6時間でできます」とクラークは語った。「つまり、より多くの問いを立てられ、より多くの論文を読め、そうでなければ難しかったことができるのです。しかし最終的には、こうした実験をより多く行い、そのフライホイールをより速く回転させることで、より広い接面が得られ、登りたいとさえ思っていなかった山に登ることになるのです」

釘1本が足りないために

最後に、モデレーターのフレイザー・アンダーソン(Frazer Anderson)はパネリストに対し「スタック(エコシステム)に欠けているものは何か」と尋ねた。

クラークにとって、それはさらなる計算リソース(コンピュート)だった。

「ツールの多くはすでにあります」と彼は述べた。「素晴らしいオープンソースがたくさんあります。何かを作ることは、これまでになく簡単になっています。しかし、より多くの計算リソースが必要で、さらに現実世界での検証が必要です。それはこの2人(他のパネリスト)がやっていることです」

エドワーズとビルスキが挙げたのは機器(ハードウェア)だった。

「機器用のドライバーはこの分野における非常に大きな課題です」とエドワーズは述べた。「インターフェースを取るのが難しい素晴らしい科学機器が数多く存在します。アンソロピック(Anthropic)はその点に関して興味深い取り組みを行っています。標準化に向けて何らかの収束がみられることを期待しています。それが私にとって大きな問題です」

「機器、機器、機器です」とビルスキは語った。「理論上は自動化ラボ向けに作られている機器でさえ、結局のところ、実際には人間主導のワークフロー向けに作られています。そのため、それらで100倍もの実験を実行しようとすると、壊れてしまうのです。ですから私たちは実際、この問題について多くのベンダーと話をしています。大きな機会があると思います。ラボ用ハードウェアは実際には難しい市場です。しかし、もしこの問題を解決できれば、その市場にはルネッサンスが訪れ、今後数年で大きな成長を遂げる大きな機会になると思います」

以上がAIの科学的役割のレビューであり、擬人化についての考察でもある。ハロウィンとシンギュラリティの両方に近づく中で、さまざまな要素が入り交じった内容と言えるだろう。

(forbes.com 原文)

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