経営・戦略

2026.11.04 13:15

ジルコニウムの世界トップメーカーが“副産物”で狙う次の柱──ブレイクスルー企業100(第8回)第一稀元素化学工業

第一位元素化学工業 代表取締役社長執行役員 國部洋

第一位元素化学工業 代表取締役社長執行役員 國部洋

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ジルコニウム化合物の世界トップメーカーである第一稀元素化学工業(4082 東証プライム、本社:大阪市中央区)の株価が、大きく動いている。2025年10月半ばまでは700円前後だったが、レアアースを使わないセラミックス材料の発表で買いが集まり、26年1月には中国のレアアース輸出規制強化の発表を受けて一時4,400円をつけた。8月には先端半導体の材料となるレアメタル「ハフニウム」の国内製造技術の確立を発表し、再び急伸。直近では1,600円〜1,700円台で推移している。27年3月期第1四半期の売上高は前年同期比24.9%増の101億円、営業利益は2.2倍の11億5,000万円と、足元の業績は好調だ。半導体や燃料電池など先端分野の話題が目立つ一方で、売上高の6割強は今も自動車排ガス浄化触媒向けが占める。テーマ株として乱高下する株価の先に、どんな成長の道筋を描くのか。代表取締役社長執行役員の國部洋氏に聞いた。

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──ジルコニウムは一般にはなじみの薄い元素です。どんな特徴があり、なぜ第一稀元素化学工業は世界トップになれたのでしょうか。

國部洋:ジルコニウムは単独でも耐熱性が高く、酸やアルカリに強く、屈折率も高い。そのうえ、さまざまなレアアースやほかの元素とくっつくことで、本当に面白い機能を発揮する魅力的な元素です。だからこそ、自動車の排ガス浄化触媒、生体材料、電子部品など、幅広い業界に製品を供給しています。

出発点は、目を付けるのが早かったことです。創業者が独立する際、日本でまだほとんどどこも手がけていなかった元素がジルコニウムでした。「誰も手をつけていないからこそ、我々がやる」という思いで始めたわけです。競合がいないので、さまざまな業界のお客様からご要望をいただく。それに愚直に応える過程で技術と製品の供給力が磨かれ、得られたノウハウからまた別の製品が生まれる。この蓄積は、なかなか他社にはまねできません。

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第一稀元素化学工業の酸化ジルコニウム
第一稀元素化学工業の酸化ジルコニウム

これに加えて、我々を現在の立ち位置に引き上げたのがベトナム事業です。当社製品は、ジルコン鉱石を精製してつくられるオキシ塩化ジルコニウムを中間原料としており、そのジルコン鉱石の精製は、ほぼ特定国に依存しています。しかし、その国のサプライヤー自身が当社と同じ製品分野に進出してくると、当社が原料を仕入れている調達先と、製品の市場で競合してしまう。そこで、ジルコン鉱石の精製から自分たちで手がける体制をベトナムにつくりました。安定調達と、競合に依存しないという二つの意味で、供給の安定性を確保できたことは大きいです。

レアアースショックの「戒め」が生んだ選択肢

──國部社長は三和銀行(現・三菱UFJ銀行)から2004年に入社し、2010年にレアアース・ショックを経験されました。22年に社長に就任しましたが、この経験は経営にどう生きていますか。

つらい経験であり、常に自分への戒めにしなければいけない事例です。当時、最適な方針は在庫を積み増すことだと考えて進めた結果、その後の価格暴落によって、2年で自己資本が半分ほどに毀損してしまった。先輩たちが築いてくれた資本の蓄積を一気に減らしたわけです。

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文=中居広起 写真=中嶋あずさ

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