北米

2026.11.04 07:00

トランプ米大統領、軽油価格高騰巡りウクライナを非難 実際の原因はイラン紛争

米国のドナルド・トランプ大統領。2026年10月28日撮影(Kevin Dietsch/Getty Images)

米国のドナルド・トランプ大統領。2026年10月28日撮影(Kevin Dietsch/Getty Images)

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ドナルド・トランプ米大統領は先月9日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話会談し、同国が米国を含む国際市場に向けて30万トンのディーゼル燃料(軽油)を輸出すると発表した。今月には50万トンの追加供給も約束されている。米財務省は同日、制裁対象だったロシア産軽油を来年4月まで受け入れることを許可した。これは、2022年に米政府がロシア産燃料に対する制裁を発動して以来、初の輸入解禁となる。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米政権の対応を激しく非難した。同大統領はソーシャルメディア(SNS)に「プーチン大統領への贈り物は平和をもたらさない」と投稿。ロシアに石油製品の販売を許可することは、終結すべき戦争に資金を投入することになると訴えた。

これを受け、トランプ大統領は反撃に出た。同大統領は、ゼレンスキー大統領によるロシアの石油精製施設への無人機(ドローン)攻撃が軽油の記録的な価格高騰を招き、米国の農業従事者を苦しめるいていると非難した。さらに、ウクライナには合意を成立させられる新たな指導者が必要だと主張した。この発言に対し、ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、ゼレンスキー大統領は国民の支持を得ており、大統領を選ぶのは国民の権利だと反論した。一方、ロシアのキリル・ドミトリエフ大統領特別代表は、トランプ大統領を称賛した。

だが、実際の数字が示す現実は、トランプ大統領の主張とは異なる。軽油価格が記録的な水準にあるのは、イランを巡る紛争が原因だ。この紛争によってホルムズ海峡が封鎖され、ウクライナ軍の無人機攻撃による影響をはるかに上回る量の燃料が国際市場から失われたのだ。ウクライナ軍の攻撃は、あくまで二次的な要因に過ぎない。米政府が声高に主張してきた「エネルギー自給」も、消費者保護には役立っていない。米国の石油精製業者は国際市場に販売しており、米国民も結局は国際価格を支払わされているからだ。

政治的な対立とは無関係な立場にあるアナリストも、同様の見解を示している。デンマークの投資会社グローバル・リスク・マネジメントのアルネ・ローマン・ラスムッセン主任アナリストは9月、ウクライナ軍によるロシアの製油所への攻撃が停止されれば、軽油の需給バランスは改善するとの見方を示した。他方で、中東からの石油精製製品の供給不足の方が「はるかに大きな問題」だと指摘した。同アナリストは、軽油価格や精製費用が実際に急騰したのは、米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始してからだと説明した。

燃料の供給不足に至るこれまでの経緯

まずは時系列から見ていこう。米イスラエル両軍が2月28日にイランを攻撃した当時、軽油価格は1ガロン(約4リットル)当たり4ドル未満だった。それから2カ月も経たないうちに価格は5割近く急騰したが、これはロシアが国内の軽油供給不足を理由に7月に輸出を禁止するよりはるかに前のことだ。米国の軽油価格は9月下旬には過去最高となる6.53ドルを記録し、現在も1年前と比べて約70%高い水準にある。

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翻訳・編集=安藤清香

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