未売却のポートフォリオ企業という歴史的な積み残しを抱えるプライベートエクイティ業界は、ついに訪れることのなかったエグジットの波を待ち続けてきた。
その代わりに現れつつあるのは、M&A市場の広範な再開というより、プライベートエクイティファンドの帳簿に残る何千もの古い投資案件の価格が徐々に見直されることによって進む、より緩慢で選別的なリセットである。
価格が分ける回復
プライベートエクイティの足かせとなっているのは、流動性の不足ではなく、価格で合意することの難しさだ。買い手と売り手は取引を成立させるための手段を増やしているが、まったく異なる金融環境で取得された資産が現在どれほどの価値を持つのかについて、なお見解が一致しないケースが多い。
直近の主要指標は心強い。米国プライベートエクイティのエグジット価値(登録が必要)は2025年に約6450億ドル(約102兆円)に達し、2023年の底から2倍以上に増えた。資金調達市場は堅調で、大型の戦略的案件も成立している。質の高い資産には買い手がついている。
しかし、とりわけミドルマーケットでは、この回復は二極化したままである。エグジット価値はエグジット件数よりもはるかに速く回復しており、活動の多くは比較的少数の大型取引に集中している。
その回復の下には、より解きほぐしにくい問題がある。プライベートエクイティが最も積極的に案件を積み上げた時期に買収され、なお市場に戻る道筋を見いだす必要がある何千ものミドルマーケット企業である。
到来しなかったエグジットの波
6月30日時点で、米国では1万3500社超がプライベートエクイティ会社の保有下にあった。その約半数は保有期間が5年を超え、4分の1超は少なくとも7年に達していた。
その大半は経営危機にあるわけではない。多くは堅調な収益と妥当な成長力を備えた優良企業である。ただ、それらは金利が歴史的低水準に近く、信用が潤沢で、買い手がより積極的な成長見通しやエグジット前提を織り込めた時期に取得された。現在は資本コストが上昇し、レバレッジの許容度は低下し、買い手は支払価格に対してはるかに規律を重んじるようになっている。
その結果、バリュエーションのギャップが生じる。スポンサーは、あと1、2年の利益成長が帳簿価額を支えられると考えるかもしれない。一方、買い手は現在の資金調達コストとエグジット前提のもとで得られるリターンに注目している。双方の見方が大きく隔たれば、取引は停滞する。
流動化の選択肢は増えても、価格問題は解決しない
もちろん、強い企業は引き続き戦略的買い手に売却される。ほかの企業は、あるプライベートエクイティのスポンサーから別のスポンサーへと移る。スポンサー間取引は、過去10年間のプライベートエクイティのエグジットの約45%を占めてきた。
継続保有ビークル、セカンダリー取引、一部売却、資本再構成、相対取引はいずれも、流動化への道筋を広げている。ミドルマーケット企業にとって、こうした代替手段は時間軸を延ばし、選択肢を生み出し得るが、根本的な問題を取り除くわけではない。買い手と売り手は、なお価格で合意しなければならない。
投資家が未実現益よりも現金分配に目を向けるようになるなか、圧力は強まっている。現金分配は4年連続で純資産価値の15%以下にとどまっている。
投資家が拠出した資本に対してどれだけの現金を受け取ったかを示す指標であるDPI(払込資本に対する分配額)は、資金調達をめぐる議論の中心となり、ファンドの運営方法や資金調達のあり方を変えつつある。
モメンタムに代わった選別姿勢
長年にわたり、スポンサーはポートフォリオ評価額の上昇と報告リターンの堅調さを示すことができた。だが、投資家が資金回収をより長く待たされる状況では、そうした指標の重要性は低下する。
資金調達への影響はすでに顕在化している。資本はより大規模で実績のある運用会社に集中し、エグジット実績の少ない会社は新たな資金を集めることが難しくなっている。米国で年間に組成されるファンド数は、2022年のピークから急減した。
これは、ミドルマーケットのプライベートエクイティモデルが破綻したことを意味するものではない。ただ、低コストの負債とバリュエーション倍率の拡大が続いた時代には経験しなかった形で、このモデルが試されていることを意味する。
プライベートエクイティ本来の目的への回帰
滞留案件は、一つひとつの判断を通じて徐々に解消されていく可能性が高い。スポンサーが現実的な価格を受け入れること、投資家がファンド持分を売却すること、強い企業が適切な買い手を見つけること、あるいは保有期間の長い資産が、次の所有者が正当化できる条件で継続保有ビークルに移されることによってである。
次のミドルマーケットのプライベートエクイティサイクルに加わるためには、各社は保有する企業の内部で、地道に価値を創出しなければならない。安価なレバレッジと容易な倍率拡大がもはや大きな役割を果たさない以上、運用会社は事業運営を改善し、より強い企業を築き、最終的には市場が実際に支払う価格で売却しなければならない。それは、より厳しいプライベートエクイティのモデルである。同時に、より優れたモデルであることが示されるかもしれない。
ここで提供される情報は、投資、税務、財務に関する助言ではない。自身の具体的な状況に関する助言については、資格を有する専門家に相談すべきである。



