ウクライナとロシアで、スマートフォンに緊急警報を届けるアプリが相次いでサイバー攻撃を受けたと報じられている。サイバー攻撃は一晩のうちに数時間の間隔で起き、数百万人に核攻撃や化学攻撃が迫っているという偽の警報が届いた。
ウクライナではミサイル接近、ロシアでは核弾頭発射の偽警報
複数の報道によると、ウクライナでは、緊急警報アプリ「Air Alert」を狙ったサイバー攻撃があり、住民のスマートフォンに偽の警報が届いた。首都キーウの住民に対しては、放射線の脅威があるという警報や、ロシアが極超音速ミサイル「オレシュニク」を発射し、キーウへ向かっているとする警報が送られた。内容の異なる偽の警報は数百件に上った。
ウクライナのアプリがサイバー攻撃を受けてから数時間以内に、ロシア非常事態省のアプリも同様の被害に遭った。ロシアでは30を超える地域に偽の警報が届き、ウクライナのドローンが核弾頭を発射しているとする通知も含まれていた。
偽警報を送らせたのは誰か、サイバー攻撃の実行者を特定する難しさ
緊急警報アプリを標的としたサイバー攻撃について、サイバーセキュリティー企業OPSWATで北ヨーロッパ地域の防衛戦略責任者を務めるグレアム・テイラーは、攻撃者を特定する難しさを指摘した。テイラーは英陸軍に計27年間在籍し、北大西洋条約機構(NATO)や国連、統合作戦の現場で任務に携わった。英国防省の国防アカデミーで参謀長を務め、大英帝国勲章コマンダー章(CBE)も受章している。
テイラーは「ウクライナとロシアの緊急警報アプリへのサイバー攻撃は、グレーゾーンでの活動を示すものだ。攻撃主体を特定するのは極めて難しく、関与を否定できる余地を残すことが常とう手段になっている」と述べた。グレーゾーンとは、純然たる平時とも有事とも言い切れない状況を指す。
攻撃者を特定する難しさは、ウクライナ側の発言からもうかがえる。ウクライナ議会のオレクサンドル・メレジコ議員は、ロシアのアプリに対するサイバー攻撃にウクライナが関与したかどうかについて、肯定も否定もできないと述べた。



