米国のドナルド・トランプ政権がイランへの攻撃を開始してから8カ月が経過した今、多くの報道機関の間では、この対立を膠着(こうちゃく)状態とする見方が広がっている。すなわち、トランプ政権が軍部主導のイラン新政権との妥協へと否応なく向かっている状況だ。
確かにその通りかもしれない。9月下旬の国連総会での演説で、トランプ大統領は11月の米中間選挙の直後に米国とイランが合意に至る可能性を示唆した。現時点では間接的な形にとどまっているとはいえ、予備的な協議は既に始まっていると言われている。
だが、米国とイランの間で妥協が成立する時期も極めて重要だ。なぜならイランが現在、世界のエネルギー貿易や商業の流れに対して行使している影響力は、恒久的なものではないからだ。それどころか、イラン紛争が現在の国際市場で見られる「接続性」を強化する動きを新たに生み出したわけではないにせよ、それを加速させたことは間違いない。世界のさまざまな地域で、イラン紛争によって露呈した脆弱(ぜいじゃく)性に対処することを目的とした、接続性を向上させる計画に注目が集まっている。
最も直接的な例はペルシャ湾で見られる。かつては世界で取引されるエネルギー資源の5分の1と海上貿易全体の約11%が通過していたホルムズ海峡をイランが「武器」として利用したことで、周辺のペルシャ湾岸諸国や海運会社は代替となる航路や迂回(うかい)路を早急に確保せざるを得なくなった。
アラブ首長国連邦(UAE)では、首都アブダビ南西のハブシャン油田からホルムズ海峡の外側にあるフジャイラ港に至る既存のパイプラインが活用された。このパイプラインの利用と代替輸送手段の確保により、UAEは6月までに石油輸出量を日量430万バレルまで拡大し、イラン紛争前の水準の約85%にまで回復させた。
他方で、必然的に、ホルムズ海峡を迂回するための社会基盤整備計画も進められることとなった。UAEは現在、2本目のパイプラインも敷設中で、5月時点で進捗(しんちょく)率は50%に達しており、2027年までに完工する見通しだ。このパイプラインが完成すれば、フジャイラ港を経由するUAEの石油輸出能力は約2倍になる。これにより、同国は2027年に日量500万バレルに拡大することを目指している石油生産量の大部分を、ホルムズ海峡を経由せずに輸出できるようになる。
同様に、ホルムズ海峡の混乱を契機に、サウジアラビアも独自の迂回計画を始動させた。同国は3月、東部アブカイクから紅海沿岸のヤンブー港に伸びる全長1200キロの東西パイプラインの輸送量を拡大した。同パイプラインは同月末時点で日量700万バレルというフル稼働状態に達し、サウジアラビアの石油輸出の9割近くが紅海経由で輸出されるようになった。



