ジョニー・ロンビーノは夢を実現している。熱心なアウトドア愛好家である彼は、パドルボードへの情熱をビジネスに変え、今年の売上高は100万ドル(約1億5700万円)弱に達すると見込んでいる。
コロラド州テルライドを拠点とするSOL Paddle Boardsを立ち上げたのは15年前、ブラジルのリオデジャネイロへの旅行がきっかけだった。友人からもらった簡素なインフレータブルボードを取り出すと、周囲に人だかりができた。「何千人もの人が私の周りに集まり始めた」と彼は話す。
彼はそこに商機を見いだした。浅瀬の岩場でも扱いやすい格納式フィンシステムを備えたパドルボードを自ら設計した。最初に発注したのは、ブラジル国旗に着想を得た黄色と緑のプロトタイプボード20枚だった。アジアに2年間住んだ経験があり、製造現場について一定の知識もあった。彼は40枚のボードを発注し、それらは1、2日で完売した。
自分と家族を支えるために高級レストランで給仕として働きながら、彼は6年以上をかけてブランドを育てた。現在ではボードとカヤックを合わせて約16モデルを展開している。
二重補強された構造、ホットピンクやティールといった目を引くカラー、レオパード柄などで差別化を図り、約100の小売拠点を通じて販売している。
売上高は2020年に初めて100万ドル(約1億5700万円)を突破し、その後も同水準で推移している。フルタイム従業員はおらず、非常勤のマーケティングディレクターと、デザインや販売などの分野を担う請負チームに頼っている。
ZenBusiness State of Entrepreneurship Report 2026によると、1人で事業を始める人の多くはロンビーノと同じような情熱に突き動かされており、回答者の23%が「わくわくするアイデアを追求したかった」と答えた。また、全回答者の23%、55歳以上では31.6%が、「今やらなければ一生できないと思った」ことを起業の理由として挙げている。
約半数(47%)は「もっと早く起業すべきだった」と答え、30%は「タイミングは完璧だった」と回答した。16%は「人生で最良の決断だった」としている。
「今日の中小企業経営者は、意図的に選択している。自己資金で事業を立ち上げ、自分自身の基準で成功を定義し、想像できることと実際に築けるものとのギャップを埋めるために、AIをますます活用している」と、起業家がAIツールを使って事業を始め、築き、成長させる支援を行うZenBusinessのCEO兼共同創業者ロス・ブールドルフは述べた。
「私たちは転換点にいる。十分な資金がない、十分な専門知識がない、十分な時間がないといった、これまで人々を傍観者にとどめてきた障壁は急速に崩れつつある。今日の初めての起業家は、5年前には存在しなかったツールを利用できる。競争環境はまだ完全に公平ではないが、そこに近づいている」
同レポートは、2026年1月から7月にかけて、起業を志す人、現在起業している人、中小企業経営者の計2000人を調査した。そのうち37%は1人で事業を運営しており、20%は今後もその体制を維持する意向だ。チームを少人数に保てる理由はAIにあり、47%はAIが共同創業者、あるいは本来なら報酬を払う必要がある人の仕事を担っていると答えた。
調査対象者のうち91%は初めて事業を所有する人で、71%はすでに立ち上げに動いているか、12カ月以内に立ち上げる予定だと回答した。複数の事業を所有する連続起業家はわずか9%だった。調査対象の男性では43%が現在事業を所有しているのに対し、女性では28%だった。
上位の分野は、建設・住宅改修(11%)、商品の製造・販売(11%)、オンライン販売(11%)だった。
その他の主な調査結果は以下の通りである。
副業起業家が多い。週40〜60時間働くフルタイムの人は30%にとどまり、60時間超働く人はわずか12%だった。40%にとって、事業はパートタイムの取り組み、または副業である。
自己資金で賄っている。回答者にとって最大の不安は何か。初年度に資金が尽きること(24%)だった。約70%は個人の貯蓄で事業資金を賄っていた。回答者の中で最大の層であるZ世代では、72%がそうしていた。資金面のバックアップとして、34%はクレジットカードや個人ローンを利用する予定だとし、投資資金を調達する予定だと答えたのはわずか16%だった。
負担を軽くする方法を見つけている。創業者の31%は、特定の業務にAIを毎日利用している。経営者の38%は3〜5種類のツールを使っている。これらのツールへの支出は少ないかゼロで、38%は無料版を選んでいる。
現実的である。回答者の68%は、初年度の売上高を10万ドル(約1570万円)未満と見込んでおり、その範囲を成功と捉えていた。
無制限の猶予はない。調査対象者の42%は、初年度に黒字化できなければ撤退する必要があると答えた。初年度からすでに黒字だったのはわずか16%だった。全体では15%が、金銭的なセーフティーネットがまったくないと報告した。
ほかに選択肢がほとんどない人もいた。回答者の12%は企業勤務で限界に達したと答え、7%はレイオフまたは解雇が動機だった。
自由にはストレスも伴った。回答者の34%は、事業運営にはストレスがあるが、その価値はあると答えた。一方で15%は、不安の増大やメンタルヘルス上の苦しみを報告した。
ロンビーノにとっては、事業づくりに飛び込んでよかったと感じている。彼は同じ関心を持つ顧客とパドルボードについて語り合うことを楽しんでおり、顧客対応をAIに任せるつもりはない。「電話をくれれば、私が出る」と彼は言う。「私自身だ」
同時に、彼には家族と過ごし、地元高校のレスリングチームを手伝い、望むときにドロレス川やサンミゲル川でパドルを漕ぐ自由がある。「パドルに出ているときは、間違いなく自由でいられる時間だ」と彼は話す。



