ガソリンやディーゼル燃料(軽油)価格の高騰は、米国で繰り広げられている中間選挙戦で主な争点となっており、共和・民主両党は互いに責任をなすりつけ合っている。だが、給油のたびに上がり続ける代金を支払わされている数百万人もの米国の有権者にとって重要な問いは、「この状況に対して何ができるのか」ということだろう。
世界的に供給が逼迫(ひっぱく)し、需要も引き続き堅調であることから、原油価格は今後さらに上昇する可能性がある。価格を押し下げるには、市場への供給を増やすか、需要を大幅に減少させるかのいずれかが必要となる。
ウクライナ侵攻とイラン紛争を比較することで、今後の原油価格の動向や、その流れを変え得る要因を探る手がかりを得ることができる。本稿では、米国の原油価格の指標となっているウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)を用いる。
世界の産油国
石油は国際的に取引される商品であり、特定の個人が価格を操作することはできない。石油生産国を石油輸出機構(OPEC)加盟国と非加盟国の2つに分類してみよう。
OPECには12カ国が加盟し、世界の石油総生産量の約32%を占めている。一方、非加盟の産油国には、米国、ロシア、カナダ、中国、メキシコなどが含まれ、世界全体の石油生産量の約65%を供給している。両者には明確な違いがある。
OPEC加盟国と非加盟国の違い
主な違いの1つは、OPEC加盟国が協調して行動するのに対し、非加盟国はそうではないという点だ。両者はそれぞれ大きく異なる目標を掲げており、それが生産量を決定する要因となっている。OPECは公正かつ安定した価格を維持し、加盟国の政府に安定した収入をもたらすために生産量を調整している。
これに対し、非加盟国は競争力のある価格を維持しつつ、株主価値に重点を置き、生産量と収益の最大化を図っている。このように、OPEC加盟国が協調して生産するのに対し、非加盟国はそれぞれ独自に行動し、多くの場合、生産能力の限界またはそれに近い水準で操業する傾向がある。そのため、OPECには増産の余地があるかもしれないが、非加盟国にはその余地がないこともある。
原油価格の推移
ここで、ウクライナ侵攻初期の8カ月間と、イラン紛争の8カ月間の原油価格の推移を比較してみよう。2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻した際、原油価格は1バレル92.77ドルで取引を終えた。価格は12日後に頂点に達し、123.64ドルとなった。一方、米国がイランへの攻撃に踏み切る前日の2026年2月27日、原油価格の終値は66.96ドルだった。価格はその後99日かけて上昇し、114.58ドルの最高値を記録した。開始価格から最高値までの上昇率は、ウクライナ侵攻で36.1%、イラン紛争で33.3%となり、極めて類似した結果となった。いずれの紛争でも最初の8カ月間、原油価格は開始価格を下回ることはなかった。
最高値に達した後、いずれの事例でも投資家の懸念が和らぐにつれ、原油価格は下落した。だが、ウクライナ侵攻では価格が下落した後、再び上昇し、攻撃開始から104日目に121.94ドルに達し、前回の最高値を突破する水準にまで迫った。イラン紛争でも開戦から約79日後に、価格が前回の最高値を上回る水準に迫った。ここでも、両者の価格の推移は非常に類似している。
ウクライナ侵攻では、原油価格は121.94ドルという第2の高値に達した後、3カ月半以上にわたり下落傾向が続いたが、その後再び上昇に転じた。一方、イラン紛争では、原油価格は上昇傾向にある。



