バカンスは単に新しい場所を訪れるだけでなく、脳を休ませるためのものでもある。時差の異なる場所でただ疲れて帰ってくるのではなく、リフレッシュした気分で帰宅したいなら、専門家による以下の秘訣を参考に、真の「デジタルオフ(脱デジタル)」を実践してみよう。
デジタルオフを成功させるための実践的ヒント
「常にオンライン状態にいると、神経系が本当の意味で休まることはない」と、NDカウンセリング・サービスの心理療法士であるナジャマ・デイビス氏は語る。「絶え間ない警戒モードは人を疲弊させ、睡眠を妨げ、創造性を奪ってしまう。画面から離れることで心に充電のための余裕が生まれ、周囲の環境や一緒にいる人々との時間を心から楽しめるようになる」。以下は、デイビス氏が推奨するデジタルオフの主なヒントだ。
- オフラインの時間を事前に告知する:旅行中(または1日の特定の時間帯)は連絡が取れなくなることを、職場や友人、家族に伝えておく。これにより、すぐに返信しなければならないというプレッシャーから解放される。
- テクノロジーの誘惑を抑える:通知をオフにするか、あるいは数時間ほどホテルの部屋にスマートフォンを置いておく。
- 「その瞬間」に集中できるアクティビティで予定を満たす:ハイキング、市内ツアー、シュノーケリング、料理教室など、手にスマホを持ったままではできない活動を検討する。
- デジタル断ちキットを持参する:紙の書籍や日記帳、あるいはスマホ以外のカメラを持参し、終わりなきスクロールの渦に引き込まれないようにする。
- 邪魔が入らない方法で思い出を撮影する:専用のカメラを使用することで、通知を気にすることなく、その瞬間に集中できる。
効果的なデジタルオフに向けた準備
「常にオンライン環境に頼らなくても済むよう、出発前に搭乗券、地図、重要な旅行書類をダウンロードしておくこと」と、ウェッター・サイコロジカル・サービスの創設者で臨床心理士のマイケル・ウェッター博士はアドバイスする。家族と旅行する場合は、デバイス使用に関するルールを事前に話し合って合意しておくとよい。また同博士は、日の出鑑賞、夕食、エクスカーション(オプショナルツアー)、自然の中での静かなひとときなど、旅行の最も意義深い場面に「デバイスを使わない時間」を組み込むことを提案している。
ウェッター博士は、よくある不安に対するシンプルな解決策を解説している。
- 仕事のFOMO(取り残される恐怖):重要なことを見落としてしまうという不安。解決策:業務を委任し、帰任後に対応する明確な日付を設定する。
- SNS投稿の習慣:リアルタイムで投稿したいという衝動。解決策:写真は撮影するが、投稿は帰宅後に行う。
- 退屈や落ち着きなさ:ペースを落とすことへの違和感は自然なもの。解決策:画面を見る時間を、ハイキングや地元の市場散策、あるいは単に人間観察をするなど、没頭できるアクティビティに置き換える。
仕事のメールやニュースの更新、SNSが24時間365日いつでも手元で確認できる現代において、本当の意味での休息を得るのは難しい。「常にオンライン状態であることは、仕事から物理的に離れていても、脳を軽度のストレス状態に置き続けることが研究で示されている」とウェッター博士は語る。「デジタルオフは心に減速の機会を与え、思考の明晰さ、創造性、感情のバランスを取り戻させてくれる」。
デジタルオフの捉え方を根本から変える
「現代社会において、完全に接続を絶つことが常に可能とは限らない」と、ルート・アドベンチャーズでトラベル・エクスペリエンス・ディレクターを務めるカリサ・バニュエロス氏は指摘する。「また多くの人にとって、完全にオフにすることはリラックスではなく、かえって不安を引き起こす可能性がある」。同氏は「私にはできない」という思考から「どうすれば意図を持ってこれに取り組めるか?」という思考へ切り替えることを提案している。以下がバニュエロス氏による主なアドバイスだ。
- 「テックウィンドウ(機器確認の時間)」を指定する:1日のうちメッセージを確認する短い特定の時間を設定する。同時に、食事中やオプショナルツアー参加時など、デバイスを使用しない時間も決めておく。
- スマホは体験を補強するためだけに使う:翻訳、ナビゲーション、素早い写真撮影など、必要な時だけ使い、終わったらすぐに仕舞う。
- 可能な限り機内モードを活用する:通知は意識を「今、この瞬間」から奪い、スマホの世界へと引きずり込んで目の前の体験を逃させるように設計されていることを忘れてはならない。
- 最初の1〜2日で徐々にテクノロジーの使用時間を減らす:段階的にオフラインの時間を延ばし、デバイスを使う際は意識的かつ意図的におこなう。それを意識すること自体が、テクノロジーとの関係性を変える第一歩となる。



