食料品デリバリーの米上場大手Instacart(インスタカート)の株価が10月26日に8%近く急騰した。これを受け、創業者で元CEOのアプールヴァ・メータの保有資産は再び10億ドル(約1570億円)の大台を突破した。
ウォール・ストリート・ジャーナルが「DoorDashによるInstacartの170億ドル(約2兆6700億円)規模の買収交渉が大詰めを迎えている」と報じたことを受け、同社の株価は上昇した。Instacartの時価総額は同日の市場終値時点で約145億ドル(約2兆2800億円)の高値に達し、前週金曜の終値時点の134億ドル(約2兆1100億円)から増加した。株価は買収の噂を受けてすでに過去1カ月で40%上昇していた。
メータは10年以上にわたってInstacartを率い、2023年にIPO(新規株式公開)を果たした。同社の上場時に取締役会長を退任したが、まとまった株式を保有し続けていた。2026年4月に提出された直近の委任状説明書(Proxy Statement)によれば、同社株式の7%に相当する約1700万株を保有していた。Forbesは、メータが今もその保有株式を維持していると推定している。もしそれ以降に低い価格で株式を売却していた場合、今日の資産価値はこれより低い可能性もある。DoorDashが1株71ドル超を支払う場合、株式とオプションを合わせて資産(税引き前)がさらに約2億5000万ドル(約388億円)増加する計算となる。
メータはInstacartを離れて以降も多忙を極めている。2023年には、遠隔医療クリニック向けの保険請求を簡素化する医療系スタートアップのBridge(ブリッジ)を共同創業したが、日常的な運営には関与していない。今年初めには、自身のヘッジファンドAbundance(アバンダンス)を立ち上げ、報道によれば1億ドル(約157億円)を調達している。カリフォルニア州パロアルトを拠点とする同ファンドは、数千のAIエージェントを活用し、ロング・ショート両戦略で銘柄を選定している。
Instacartの物語は、メータの移民としての歩みと切り離せない。メータはインドに生まれ、リビアで育った後、2000年に14歳で家族とともにカナダへ移住した。オンタリオ州で初めて西洋のスーパーマーケットを目にしたメータは、目の前に広がる豊かな光景が信じられなかったという。「人生であんなにたくさんのキットカットを見たのは初めてだった」と、メータは2021年に振り返っている。
「あれはまさに大きなカルチャーショックだった。Instacartを立ち上げたのが、あの体験の直接の結果ではなかったと言ったら嘘になる」



