暗号資産取引所大手バイナンスの共同創業者であるチャンポン・ジャオは、世界一の富豪であるイーロン・マスクに対してからかうのをやめるよう求めた。バイナンスが被った過去最大規模とみられるハッキング被害に関して、マスクがXに「しかめっ面」の絵文字を投稿したことが発端だ。
ジャオはXへの投稿で「イーロン、あなたのことは非常に尊敬しているが、今はからかっている場合ではない。やめてくれ」と訴えた。また、マスクによる旧ツイッター買収時に5億ドル(約800億円)を出資したことで得たバイナンスのスペースX株の価値が、現在10億ドル(約1600億円)を超えているとも付け加えた。
バイナンスは米国時間10月29日、暗号資産の盗難額としては過去最大とみられるハッキング被害に見舞われた。同社は翌30日未明、この攻撃による被害額が推定63億ドル(約1兆円)相当にのぼるとみていることを明らかにした。
同社は「利用者の資産は安全だ」と強調しており、自社の利用者保護基金であるSecure Asset Fund for Usersやその他の自己資金を使って損失を補填する計画だという。
2017年に設立されたバイナンスは、1日の取引高としては世界最大の暗号資産取引所であり、顧客は同社のサービスを通じてビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を購入できる。29日のハッキング被害は現時点で史上最大とみられており、これに次ぐ過去2位の規模は2020年にLuBianが受けた35億ドル(約5600億円)の攻撃だった。
暗号資産調査会社のTRM Labsによれば、今回の事件はハッカー集団「TraderTraitor」による犯行とみられ、米東部夏時間29日午後4時ごろに攻撃者がバイナンスのウォレットから60億ドル(約9600億円)以上を流出させたことで攻撃が始まったとしている。同社の報告書は「今回の攻撃のいくつかの特徴は、過去に北朝鮮関連の組織が引き起こした窃盗事件と一致している」と指摘した。また同社によると、過去最大規模の流出事件の上位5件のうち、3件で北朝鮮が関与しているという。
ジャオは2023年11月にマネーロンダリング対策法違反で有罪を認めた後、4カ月間の実刑判決を受けた。刑期を終えた後はアラブ首長国連邦へ移住し、2025年にはドナルド・トランプ大統領から恩赦を受けている。



