中国から悪い知らせが届いた。中国政府は、2022年以降にバイデン政権とトランプ政権が進めてきた米国の輸出規制をまねようとしているのだ。
2026年10月28日付のロイターの報道によれば、中国政府は同月16日、人工知能(AI)関連技術の輸出規制案を公表した。中国の経済政策を上から動かす「司令塔」に当たる指導部の方針だ。中国のAI企業は、米国との競争が激しくなる中、「価値ある技術を国内にとどめ、その技術を利用する権利を海外に売る」ことに、いっそう力を入れるようになる。
貿易を「戦争」と見る発想は、なぜ米中双方の経済を疲弊させるのか
実に悲しいことに、貿易は再び戦争になってしまった。米国と中国は、ある国の繁栄は他国の犠牲の上に成り立つという、経済を疲弊させるゼロサムの考え方に陥り、何世紀も前へ逆戻りしている。米中の指導者は、いつになったら学ぶのだろうか。
輸出は、あらゆる商取引の中で最も平和的な行為だ。同じ理屈で、輸入は商取引の中で最も豊かさをもたらす行為である。
ヘンリー・フォードの大量生産を支えた分業の力
仕事を分担すれば、すべての人が得をする。同じ作業を不必要に重ねずに済む上、人材や機械設備を、市場で最も価値を生み出せる仕事に振り向けられるためだ。自動車の大量生産を広めたヘンリー・フォードが現在の米中の状況を見れば、あぜんとするだろう。
フォードはかつて「私は大半のことを知らない」と冗談交じりに語った。自分がすべてを知る必要はないという重要な洞察に基づき、「一般大衆」のために自動車を大量生産したのである。自由な経済では、自分が知らないことや、まだ身に付けていない知識があっても問題にならない。



