企業はマネジャーの承認判断で動いている。発注書や変更指示、休暇や経費の申請、あるいは製造ラインの停止後の再開許可など、あらゆる場面にそれは存在する。しかしなぜか、こうしたリーダーたちがチームの育成に関して同様の機会を得ることはない。従業員のスキルや行動がどのように発達しているかについて承認判断を求められるような、継続的な関与はほとんどない。その代わりに、単に受講登録や修了の通知を受けるだけだ。
つまり、働き方を変えるために人材育成費が投じられているにもかかわらず、その育成が実際の業務で形になっているかを確認する仕組みが存在しないことが多いのだ。途中で何が変わったのかを誰にも確認させないのであれば、企業は単に修了証に対して費用を支払っているに過ぎない。
チームメンバーの行動にどのような変化が生じたかを確認するマネジャーは、結果的にチームの実際の業務に近づくことができる。これこそがギャラップ(Gallup)が「従業員エンゲージメントのばらつきの少なくとも70%」はマネジャーに起因すると説明する領域だ。その影響力は、オープンな対話による関係構築や明確な責任の確立といった、優れたマネジャーが行う一握りの行動に結びついている。新しい行動が業務に表れているかを確認することは、業務に関する具体的な会話であり、何をもって完了とするかを明確に提示することでもあるため、この両方を同時に達成できる。従業員にとっては、新しいアプローチを試みる姿を見守り、それがうまく機能しているかを伝えてくれるマネジャーが存在することを意味する。
だからこそ、人材育成は奇妙な例外となっている。マネジャーは、新しい行動が定着するか消えてしまうかの数週間を除き、ビジネスのほぼあらゆる日常的なプロセスで意思決定の役割を担っている。この領域にも意思決定の役割を与えることは、ひとつの問いを投げかけるだけで実現できる。「この人物の業務に新しい行動は実際に現れているか?」と。
行動変容はマネジャーの目に見える場所で起きる
研修プログラムは望ましい姿を示すことができ、優れたプログラムであればその役割を適切に果たす。しかし、求められる行動が実際の働き方として定着するかどうかは、普段の業務のなかでしか判断できない。大半のプログラムは、研修終了後の通常業務の期間まで介入しない。最終セッションで終了し、本質的な習慣化は本人の継続意欲に委ねられてしまう。
マネジャーは、研修成果が業務に表れているかを判断できるほど従業員の日常的な行動に近い唯一の存在だ。1on1の面談を行い、実施された手順確認も省略された手順確認も目にし、難しい顧客対応が実際どうだったかを聞いている。つまり彼らは、企業が人材育成に投じる費用と、現場で実際に起きていることをつなぐシンプルな結節点なのだ。企業はすでにプログラムに費用を払い、マネジャーにも給与を払っている。何が変わったかをマネジャーに尋ねることが、プログラムが対価に見合う成果を出したかを確かめる方法だ。同じ問いが、まだ新しい行動を身に付けていない従業員もすくい上げ、修了扱いにしてしまう前に追加の練習へと促す時間を確保する。
検証とは一種の承認判断である
従業員が新しい行動を示しているかを確認することは、本質的にマネジャーが行う他のすべての承認作業と同じだ。誰かが何かを事実だと主張し、マネジャーは自分が見てきたことに照らしてその主張を確認し、「はい、いまそれは起きている」あるいは「まだだ、引き続き取り組む必要がある」と答える。
研修の検証には、マネジャーの週次業務にすでに存在する承認と共通する4つの要素がある。
• 限定的(Bounded):観察可能な一つの行動について一つの問いが用意され、確認すべき対象がある時に問いかけられる。会議を開く必要はなく、1分で済む。
• 従業員起点(Employee-Triggered):マネジャーは人事からのリマインダーではなく、自分のチームメンバーの主張に答える。
• 情報価値(Informative):チームメンバーが何に取り組み、どのような試みを行い、どうなったかを知ることができる。これは、マネジャーが通常であれば記憶を頼りに思い起こそうとするような、具体性のあるタイムリーな観察記録となる。
• 影響力(Consequential):回答は記録に残り、次の展開を左右する。それは単なる事務作業ではなく、権限の行使である。
もちろん、ろくに確認もせず形式的に承認するマネジャーもいるだろう。しかし、確認せずに承認するマネジャーであっても何を観察すべきかは提示されており、単なる修了報告書よりはるかに多くの情報が得られている。また、無条件の承認パターンはデータ上にほぼ即座に現れる。
企業が得られるメリット
検証の必要性は、通常、受講者の視点から語られることが多い。しかし、損益責任を負う者や事業所を統括する者にとってより説得力のある論拠は、それがマネジメント層にもたらす効果だ。
マネジャーは、成長のプロセスが進行している最中に質問を受けることで、部下の成長度合いを把握できるようになる。これにより、つまずいている従業員を早期に発見でき、費用を負担している側からプロセス全体が見えなくなることも防げる。マネジャーはプログラム開始前と四半期の終わりにチームメンバーの行動を評価し、同時にメンバー本人も同期間に同じ項目で自己評価を行う。同一の行動に対して2つの独立した評価を収集することは、本人の自己申告による進捗報告とは質の異なるエビデンス(客観的証拠)となる。
マネジャー自身もメリットを得られる。チームの進捗確認を求められることで、人材育成における自らの役割が明確になるからだ。ギャラップによると、マネジャー育成のベストプラクティスを実践している企業では、「マネジャーの79%が意欲的(エンゲージしている)」であった。これは世界平均の4倍近くに達しており、マネジャーのエンゲージメントがその役割の明確化と強化によって向上することを示している。承認を求めることは、その役割を明確にする最も簡単な方法の一つだ。
人材育成に「署名」を
人材育成プログラムは人々の働き方を変えるためのものであり、マネジャーはその変化が起きたかを確認できる十分近い場所にいる唯一の存在だ。何が変わったかをマネジャーに確認してもらうことは、彼らが日常的に行っている他の承認判断と同じだ。忙しい一週間に収まる程度に小さく、答える価値があるほど具体的だ。この問いをプログラムに組み込めば、企業は投じた費用に対する成果のエビデンスを得られ、マネジャーはチームの業務により近い位置を保つことができ、人材育成には最終的に責任者の名前が紐づくことになる。



