暗号資産取引所バイナンスは10月30日、ハッキングとみられる被害により、推定63億ドル(約9960億円)相当の資産が影響を受けたと発表した。これは過去最大の暗号資産盗難事件となる可能性がある。ビットコインをはじめとする主要な暗号資産の価格が下落するなか、同社は出金を停止し、顧客の損失を補償すると約束した。
同社は公式声明で、この「セキュリティインシデント」に関する初期調査の結果、自社エンジニアの業務用PCが不正アクセスを受けた可能性があり、これによりハッカーがシステムにアクセスし、不正な出金を開始できたことが示唆されたと述べた。
バイナンスは、このインシデントによる影響の総額を約63億ドルと推計しているが、ブロックチェーン関連のパートナーと連携し、影響を受けた資産のうち約30億ドル(約4740億円)を凍結したと明らかにした。
同社はまた、ウォレットの秘密鍵が流出した証拠は見つかっていないとし、攻撃者の特定と資産の回収に向け、法執行機関やブロックチェーン調査担当者と協力していると付け加えた。
同取引所は、ユーザー資産保護基金「Secure Asset Fund for Users(SAFU)」およびその他の会社資金を使ってすべての損失を補償するとし、「顧客資産は保護されている」と強調した。
バイナンスは、復旧措置を完了次第、更新版の準備金証明(proof of reserves)を公表すると述べた。
推定63億ドルという影響額は、2025年2月に暗号資産取引所Bybitから盗まれた15億ドル(約2370億円)を上回り、過去最大の暗号資産盗難となる。
バイナンス共同創業者とステーブルコイン各社トップがハッキングにコメント
米国時間10月29日夕方、バイナンス共同創業者のチャンポン・ジャオはXへの投稿で、「バイナンスへのハッキングのように見える」と述べた。自身はもはや同社プラットフォームを管理していないとしつつ、株主として「すべてのユーザー資金が完全に回収されることを期待している」と記した。
ステーブルコインのTether(テザー)の最高経営責任者(CEO)であるパオロ・アルドイーノは、同社が「バイナンス取引所へのハッキングの可能性に関連する」15億6000万ドル超を凍結したと述べた。米ドルに1対1で連動するステーブルコインUSDCを発行するCircleは、同社トップのジェレミー・アレールによると、8億USDC超を凍結した。
暗号資産が下落
ハッキングのニュースを受け、米国時間10月29日遅くに主要暗号資産の価格は軒並み急落した。ビットコインは約4.5%下落して6週間ぶりの安値となる7万6368ドルを記録したが、その後下落幅を縮小して7万8434ドルまで回復した。イーサリアムのネイティブ通貨であるイーサ(ETH)は29日遅くに5.2%下落して2178ドルとなったが、その後2236ドルまで戻した。もともとBinance Coinとして知られていたBNBは4.7%超下落した。



