2026年3月期、住友金属鉱山の純利益は1,763億円と、前期の約10.7倍に跳ね上がった。25年に計上した減損損失の反動に加え、金と銅の価格高騰に円安が重なった。社長の松本伸弘は25年5月、自ら策定した中期経営計画2027で、自社を「稼ぐ力が急速に低下している」と評した。利益が10倍になった今も、上振れの大部分は金属価格と為替によるものだとして、手綱を緩めない。
同社は、住友グループの源流である銅事業を受け継ぐ非鉄金属大手だ。山の権益をもつ「資源」、鉱石から金属を取り出す「製錬」、高機能材料などをつくる「材料」の3事業を一貫して手がける。このうち資源と製錬は、金属価格の波をまともに受ける。
「資源・製錬事業に関しては、『そういうものだよ』と割り切るところが大半です。コントロールできない要因が圧倒的に多い」
だから同社は、在庫評価などの影響を除いた「実力損益」を重視する。26年3月期の税引前利益2,557億円のうち実力損益は1,600億~1,700億円で、前期から約500億円伸びた。ここにも金属価格と為替の効果は含まれると認めたうえで、松本は、自分たちの手で動かせる生産現場の改善も、その上に効いていると見る。
まず動かしたのは、稼働率である。
「25年以前は稼働率が上がらず、本来できるものができていなかった。機会損失が発生していたのです」
あわせて物流をはじめとする無駄なコストを削り、営業には金属価格に上乗せするプレミアムを交渉で引き上げさせる。
「稼ぐ力を上げるという特効薬はない。こまごましたものを積み上げていって、徐々に上がっている」
足元の積み上げと並んで、同社の成長の核となっているのが3事業連携だ。愛媛県の東予工場は年間45万トンの銅を生産する世界トップクラスの製錬所。この製錬所が、海外鉱山の権益を引き寄せる。
「鉱山を開発する世界の非鉄メジャーは、実はいい製錬事業をもっている会社と組みたい。だからこそ、当社は信頼できるパートナーとの鉱山事業をやれるのです」
その成果が、資源メジャーのリオティントと合弁で進める豪州のウィヌ銅・金プロジェクトだ。松本はこれを、銅の権益分生産量30万トンへのマイルストーンと位置づける。さらに、東予工場で銅を製錬する際に出る硫酸は市況次第ではコストをかけなければ売れないが、フィリピンに持つニッケル製錬所で使う。菱刈鉱山の金鉱石に含まれる珪石は、同業他社なら外から買う銅製錬の原料になる。
松本はここにリサイクルを組み込み、「シン・3事業連携」へ進化させた。この9月、東予工場とニッケル工場に国内初の商業規模の電池リサイクルプラントが竣工。使用済み電池から回収したニッケルやコバルトを、正極材の原料に再び生かす。



