アップルの製品発表では、デザインやチップ、ディスプレイといった仕様に注目が集まりやすい。では、新しい技術は、使う人の仕事や表現をどう変えるのか。アップルが現地時間10月28日に米ロサンゼルスで開催した「Apple Experience」は、その問いに製品の説明だけでなく、クリエイターの作品やデモを通じて答えようとするイベントだった。
会場となったハリウッドのかつてのテレビ放送スタジオには、世界各地から200人を超えるクリエイターとジャーナリストが集まった。筆者の印象に残ったのは新製品の仕様を紹介するだけでなく、技術がビジネスやクリエイティブ活動にどう活かされ、新たな可能性を生み出すのかを、体験を通じて参加者に伝えようとするアップルの姿勢だ。
「7分間」の短いステージでターナスは何を語ったのか
アップルの大規模な発表の場といえば、毎年6月の世界開発者会議(WWDC)と、9月に新しいiPhoneやApple Watchを披露するイベントがよく知られている。筆者はこれらのイベントも近年続けて取材してきたが、いずれも基調講演で新製品やサービス、技術を順に解説する構成が中心だった。
今回のApple Experienceは、CEOのジョン・ターナス氏による約7分間のプレゼンテーションを起点に、製品のハンズオンや体験型セミナー、クリエイターの活用事例を紹介するデモに比重を置いていた。
ターナス氏は冒頭で参加者に挨拶し、「MacBook Proをさらに良質なプロダクトにすることを、ずっと考え抜いてきた。そして、今回の新しいモデルでまったく新しいステージに到達できた」と胸を張った。
壇上で発表されたのは、Macとして初めてタッチディスプレイを搭載した「PROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Pro」だ。高精細な有機ELディスプレイも本機の大きな特徴である。ターナス氏は、プロユーザーにとってMacBook Proが重要なツールであることを強調し、タッチディスプレイという新たな入力方法によって「コンテンツの扱い方がさらに拡大する」と説明した。



