筆者はグランドアイル・シップヤード(Grand Isle Shipyard)の法人セキュリティ、資産管理、宿舎担当バイスプレジデント、デレク・シャンパーニュ氏にインタビューした。彼は、Samsara Agent Studioを使ってフリート管理と安全プロセスをどのように自動化してきたかを語った。彼はAgent Studioに平易な言葉で何を達成したいかを伝えることで、業務を自動化するエージェントを構築している。彼にIT分野の経歴はない。
Samsaraのユーザーイベントで、シャンパーニュ氏はAgent Studioの使い方を聴衆に語った。「私の隣にはソフトウェア業界の方がいました。そこで私は会場に向かって言ったんです。『私は彼のような専門家ではありません。問題を解決するのが好きな、ごく普通の人間です。私にできるなら、皆さんにもできます』」
Samsaraは前年度の売上高が16億ドル(約2530億円)に達した上場企業で、2万社以上の顧客を抱える。同社のプラットフォームはテレマティクス、ドライブレコーダー、AIを統合し、安全性、燃費、業務効率の監視と改善を実現している。
グランドアイル・シップヤード(GIS)は、石油・ガス、電力、再生可能エネルギー、重要インフラ業界向けにサービスを提供している。約3000人の従業員、21の施設、20のサービスラインを擁するGISは、大規模建設プロジェクトのライフサイクル全体にわたり、顧客の業務に合わせてサービスを提供している。そのライフサイクルは、開発、建設、試運転、そして最終的な廃止措置にまで及ぶ。
GISはタグ付けされた資産を1000点以上保有している。これには700台を超えるトラックと、バックホー、ブルドーザー、バージなど、約300点のその他の高価値機器が含まれる。沖合の石油掘削施設で使われる工具箱のような小型品目も追跡している。車両群は主にフォードF-150やシボレー・シルバラードといった標準的なピックアップトラックで構成されているが、18輪のセミトレーラーのような大型車も若干含まれる。
エージェントで業務を自動化する前に、顧客はまずSamsaraソリューションを導入する必要がある。Samsaraプラットフォームは、組織の車両や機器といった資産に紐づくデータを運用可能な形に整える。このアプリケーションに蓄積された豊富なデータこそが、エージェント活用の旅を極めて価値あるものにしている。
従来、エンタープライズアプリケーションの深層に埋もれたコアデータへアクセスして新しい機能を生み出すには、専門家、多くの場合はITや業務部門の人材が、他の全員が使うダッシュボードやレポート、ワークフローを手間暇かけて設定する必要があった。今やSamsara Assistantを使えば、オペレーターは「安全運転ドライバー上位10名を見せて」といった平易な言葉で望むものを記述するだけで、プラットフォームが回答、カスタムダッシュボード、あるいは業務を自動化するエージェントを生成する。Samsaraはエージェント型AIの取り組みにおいて、同業他社を明らかにリードしている。
GISがSamsaraを導入
シャンパーニュ氏はGISに入社する前、法執行機関で14年以上勤務し、主に麻薬捜査に携わっていた。それ以前は海兵隊に所属していた。GISでの勤務は3年になる。IT分野の経歴は持たない。
GISが彼を採用した当初、同社は彼に車両関連の多くの課題に注力してほしいと考えていた。GISには既に別のシステムが導入されていた。「私はそれにあまり満足していませんでした」。そのソリューションプロバイダーは、シャンパーニュ氏が求めていた一部のイノベーションの支援に消極的だった。そこで彼は別のサプライヤーを探し始めた。GISに入社したのは2023年12月、2024年4月までにはSamsaraの採用を決断していた。
Samsara導入の主な目的は、ドライバーのさまざまな不適切な行動を修正し、事故を未然に防ぐことだった。事故が起これば、示談で済んだとしても100万ドル(約1億5800万円)以上の費用がかかる可能性がある。「一時は手に負えない状態になっていました」とシャンパーニュ氏は語る。
「現場の警察官が我々の過失だと判断しようとするケースが何度かありました」とシャンパーニュ氏は説明する。「そこで私が電話に出て、『この映像を確認してみませんか』と伝えるんです。映像を見せると、その場で状況が一変します。可視化できることのメリットは、考えるまでもなく明らかでした」
事故が減れば保険料も下がる。同社が加入する保険会社はSamsaraのダッシュボードにフルアクセスできる。これを認めることで、GISは相当な割引を受けている。
Samsaraソリューションによるメリットを引き出すうえでの最大の障壁は「人々に受け入れてもらうことでした。皆、これを見て『トラックにビッグ・ブラザーが同乗している』と言うんです」とシャンパーニュ氏は嘆く。彼のオフィスの壁には、業務監視用の大型テレビが6台設置されている。「私の経歴のせいで、皆、私が一日中トラックの中の彼らを見張っていると思っているんですよ」
GIS幹部は各地に分散する従業員と直接会うため出張し、会社のさまざまな側面について話し合う。Samsara導入をサポートするため、デレク氏のチームは、Samsaraがいかに会社を守っているかの事例を交えた資産管理のパワーポイント資料を使ってプレゼンテーションを行った。「そして、これは罰を与えるツールではないと必ず伝えています。Samsaraは我々を助けてくれるものです。我々は皆さんが自分の仕事で素晴らしい成果を上げるのを見たいのです」。目的は、このアプリケーションをコーチングに使うことであり、処罰のためではない。
GISとSamsara Studio
シャンパーニュ氏はSamsaraのAgent Studioを早期に採用した一人である。彼はAgent Studioに平易な言葉で何を達成したいかを伝えることで、業務を自動化するエージェントを構築している。
例えば、「走行距離利用に関する週次KPIを出してくれるエージェントを作りたい」と伝えればよい。最初のアプレットができたら、それを拡張していける。シャンパーニュ氏はシステムをドリルダウンして出力を確認し、エージェントが正しいデータを引き出していることを検証する。検証が終わると、彼はAgent Studioに「よし、動かそう」と告げる。
シャンパーニュ氏はアーリーアダプターであるため、システムに指示しても望んだ結果が得られないこともある。その場合は彼がSamsaraに報告し、同社が修正する。
彼が最初に構築したアプリケーションは、点検報告書が正しく記入されているかを確認するという煩雑な業務を解消した。全ドライバーは毎月、自分の車両を点検しなければならない。これには車両の写真撮影、登録証の有効性確認、新たな損傷の報告、点検ステッカーの有効期限の確認が含まれる。
その結果、あるチームメンバーは730件の報告書を確認し、Excelスプレッドシートにデータを入力し、全マネージャー向けの成績表を作成していた。その高給のチームメンバーは、この作業に丸3週間を費やしていた。これらのデータはすべてSamsaraのシステム内に存在していたため、AIエージェントを使って作業を自動化し、そのチームメンバーをより生産的な仕事に振り向けることができた。
このプロセスは自動化され、当然ながら堅実なROIをもたらした。ただし、常にそうなるとは限らない。エージェント型AIは大規模言語モデル(LLM)を用いて構築されている。LLMの利用に伴うトークン費用は決して無視できない。Samsaraの顧客は、消費者向けAIモデルと同様に、車両ごとのAI消費量に応じたクレジット制のAIライセンスを使用する。
Samsaraは、MCP(Model Context Protocol)を使い、顧客がChatGPT、Microsoft Copilot、Claudeのような外部ツールを通じてSamsaraのデータにアクセスできるようにすることで、LLMに対するオープンなアプローチを支援している。このオープン戦略により、企業はタスクを実行するために最も低コストなLLMツールを選べる。同フリート管理ソフトウェア企業は、シートベルト着用率の向上など特定の目標に対してエージェントを評価する成果ベースの契約を開発しており、ROIの算出を容易にしようとしている。
6月以降、グランドアイル・シップヤードのセキュリティ担当バイスプレジデントは20のエージェントを作成した。Driver IDエージェントは、ドライバーが車両に正しくサインインしていない場合、トラックの運転席に電話をかけ、本人確認を求める。Crashエージェントは事故を検知し、運転席のスピーカーを通じてドライバーの安全を確認し、正式なインシデント管理プロセスを自動的に開始する。Maintenance and Vendor Statusエージェントは、サードパーティの整備工場にある資産を追跡し、整備後にドライバーがGPSユニットを接続し忘れないようにする。KPI reportingエージェントは、コンプライアンスと燃料利用データを視覚的なダッシュボードに統合し、管理者がコストを効果的に管理できるようにする。
「頭の中で考えていることは何でも実現できます」とシャンパーニュ氏は締めくくった。「自分が何をしたいかというビジョンさえ持っていればいい。使わない手はありません」



