働き方

2026.10.29 09:24

有害な社員がいかにチーム全体を「教育」してしまうのか

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どのような人事チームにも、人を入社させるためのプロセスが存在する。面接、身元照会、背景調査(バックグラウンドチェック)だ。だが筆者の経験上、採用後にすでに給料を受け取っている人物が周囲の仕事を悪化させ始めた際、その後にどう対応するかについてのプロセスを用意している企業ははるかに少ない。

後者のギャップは広く痛感されている。職場で無礼な振る舞いを経験した労働者の約3分の2が、それを止めるためマネジャーにはもっとできることがあったはずだと人事マネジメント協会(SHRM)に回答している。筆者が知りたかったのは、誰もそれ以上の対応をしなかったときに、チームの内部で何が起きるかだ。

筆者の会社は背景調査を行っており、ある雇用主と次の雇用主の間に位置している。そのため、人々が移動するまさにその瞬間を目にする。多くの雇用主は新しく来る人物について知りたがるが、より多くのことを物語る問いは、彼らが去ろうとしている場所についてのものだと筆者は考えるようになった。

有害な社員に通常起きること

筆者が率いるGCheckは、周囲の仕事を常に悪化させている同僚について、フルタイム労働者1500人を対象に調査を行った。調査結果は「The 2026 Consequence Gap」として公表されている。回答者1500人のうち1272人が、そうした人物と密接に働いた経験があると回答し、有害な同僚の38%には何も起きておらず、23%は報酬を受けたり、昇進したり、守られたりしていた。

次に、それらの労働者自身がどう行動したかについての回答を分析した。ここでは回答者が明確に3つのグループに分かれ、大きな格差が見られた。問題のある同僚が報われたり保護されたりした職場では、36%が自分も同じように振る舞い始めたと答えた。組織がその同僚を処分・排除した職場では、そう答えたのはわずか14%にとどまった。何も起きなかった職場では、その数値は両者の中間となった。

問題となった行動自体は、3つのグループすべてで同じだった。変化したのは組織の対応であり、結果としてその人物と同じように振る舞うようになった同僚の数であった。

周囲の人々へと問題行動が広がる仕組み

この現象が1人や2人でとどまることは滅多にない。問題の同僚が報われたり保護されたりした職場では、行動が他人に広がっていくのを明確に目撃したと答える割合が約2倍高かった。

筆者自身が率いていたチームでもこの現象を目にしてきた。それは劇的な変化ではない。兆候が現れるのは、普段は穏やかな人物が会議で攻撃的な発言をした際、それがその場の雰囲気として不自然に感じられなくなり、誰も反応しなくなる日だ。

調査で労働者がそうした行動を取り入れるようになった理由として挙げた内容は、熟読に値する。同様の行動をとったと認めた人のうち94%が、身を守るため、ストレスに対処するため、あるいは反論しても無駄だと判断したためなど、少なくとも1つの対処的理由を挙げている。これらは、雇用主が放置した状況下で生き残るため適応しようとした人々の回答である。

最も伝染しやすかったのは、ごくありふれた行動だった。

• 常に不満を言い、ネガティブな雰囲気を広める

• 他人の成果を横取りする

• 些細な問題を大げさに扱ったり、ルールを同僚への攻撃に利用したりする

​これらの行動は、一度起きただけで即座に解雇につながるようなものではない。それもまた拡散する理由の一部だ。一つひとつの新たな行動は、模倣しやすく、言い訳もしやすいのだ。

これらの習慣が次の職場まで引き継がれたときに起きること

人々は常に移動している。米連邦準備制度理事会(FRB)によると、2025年には成人の約8人に1人が新しい仕事に就いた。こうした移動のたびに、ある職場から別の職場へと何かが持ち込まれるが、そのすべてが履歴書に記載されるわけではない。

筆者の経験や自社の調査結果によれば、悪影響を受けなくなれば、ほとんどの人は予想以上に早く回復する。本来の機嫌の良さや忍耐力も取り戻せる。しかし、一度身についた行動の習慣はなかなか変わらない。同僚の行動を真似てしまったと認め、その後その同僚がいない別の職場で働いた労働者のうち、43%が「現在の働き方においても、まだその影響を自覚している」と答えている。

これこそが、背景調査(バックグラウンドチェック)では捉えきれない部分だ。調査で判明するのは、その人物が何をしたかであり、周囲で何が行われていたかや、問題行動が放置されているのを見て何を学んだかではない。これについての記録は存在せず、身元照会でも話題に上らない。多くの場合、それを抱えている本人さえ説明できない。ある企業の未解決の問題が、静かに次の企業のカルチャーの問題へと化していくのだ。

問題行動の伝染を遅らせる4つの実践方法

どうすれば改善されるかを労働者に尋ねたところ、より優しい職場環境を求める声は一切なかった。彼らが最も重視したのは「マネジャーが早期に介入すること」と「成果に関わらず徹底されるしかるべき対応」の2つだった。

この種の問題行動に直面しているマネジャーに向けて、筆者の推奨する対策を以下に挙げる。​

1. 同僚レベルで、早期に対処する

問題のある社員はマネジャーよりも同僚である場合が多いため、問題は役員室ではなく隣のデスクから発生するのが通例だ。最初に問題が起きた瞬間を、意見を口にすべきタイミングと捉えよう。記録を残す作業は、直接の対話に代わるものではなく、対話の後に引き続いて行うべきだ。

2. 誰の業績かを確認する前に処分・結果を決める

業績の良かった四半期だからといって処罰の基準を曲げてしまえば、何が真の基準であるかがチーム全体に伝わってしまう。

3. 悪影響を耐え忍んでいる人々を守り、それを周りにも示す

SHRMの調査によると、「組織が職場のニーズに効果的に対処できていないと感じている労働者のうち、51%が今後1年以内に離職する可能性が少なからずある」という。困難な状況にあるチームを支えている人材こそ、最も失ってはならない人々だ。

4. 報告ルートが機能し続ける状態を保つ

報告された懸念が放置されると、「ここで声を上げても無駄だ」という認識が人々の間で広まる。結果として、次に問題に気づいた人も沈黙を守るようになる。

チームがすでに学んでいる教訓

どんなチームも、周囲の仕事をやりづらくしている人物に対して何が起きるかを注視している。組織が下すあらゆる決定が、そのまま教訓となる。誰もがその対応を見て独自の結論を導き出すため、社内規定などでわざわざ通知する必要はない。

この問題にうまく対処している企業には、共通する1つの習慣がある。問題を引き起こした行動を取った本人に結果責任が及び、しかも確実に及ぶということだ。そうすれば、チームはどこが許容のラインなのかを探る必要がなくなる。

その教訓は受け継がれていく。今日それを目にしている人々は、それを次の職場へ、そして将来自分が率いるチームへと持っていく。自社はすでに、行動がどのように処置されるかを社員に「教育」しているのだ。残された唯一の問いは、彼らが学んだ内容を、あなたが意図して選んだかどうかである。​

(forbes.com 原文)

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