一方、引退したスポーツ選手で世界一の富豪といえば推定純資産額47億ドル(約7426億円)を誇るマイケル・ジョーダンだが、フォーブスのアスリート生涯年収ランキングは現役時代に得た報酬のみを対象としているため、本リストには含まれていない。「His Airness(ヒズ・エアネス)」の愛称で知られる史上最高のバスケットボール選手が自身の名を冠したナイキ傘下の独立ブランド「ジョーダンブランド」やその他のスポンサー契約から得た収入の大部分は、引退後のものだ。オーナーを務めていたNBAチーム、シャーロット・ホーネッツを2023年に30億ドルで売却した際の売却益は言うまでもない。実際、ジョーダンがNBA選手として手にした生涯年俸は9400万ドル(インフレ調整なし)にとどまり、現在のNBAスターたちは2年足らずでこの金額を稼いでしまう。
とはいえ、21世紀のスポーツスターたちは多くの点で、アスリートとしての成功と知名度を収益性の高いパーソナルブランドへと転換する青写真を作り出したジョーダンに感謝すべきだろう。1984年、まだアパレル業界の新参者扱いだったナイキはジョーダンと5年間で250万ドルという破格の契約を結び、さらに販売したシューズ1足ごとにライセンス料を支払うという賭けに出た。今年、カリーは中国のスポーツブランド「Li-Ning(リーニン)」とパートナー契約を締結したが、その契約金額は10年間で4億ドル(約632億円)に上ると報じられている。
また、今シーズン終了時点でのアスリート年収ランキング上位6人のうち5人がバスケットボール選手とサッカー選手なのも、決して偶然ではない。NBAの現在の高額年俸ランキングトップ10は今シーズンに総額9億5800万ドル(約1513億6000万円)を稼ぎ出すと見込まれている。これはサッカー選手トップ10の年俸総額9億4200万ドル(約1488億4000万円)をやや上回り、他のあらゆるスポーツのトップ10を圧倒している。
もっとも、11年間で760億ドル(約12兆円)という巨額の放映権契約によってNBAのサラリーキャップが底上げされている現状でも、ヤニス・アデトクンボ、アンソニー・エドワーズ、ジェイソン・テイタムといった次世代のスター選手たちがジェームズ、カリー、デュラントに続いて「10億ドルクラブ」入りを果たすには、あと数年は必要だろう。
そして残念ながら、女性アスリートが生涯年収ランキング上位に入るにはさらに長い年月がかかるだろう。テニスのセリーナ・ウィリアムズは2022年に引退するまでに推定約4億5000万ドルを稼いだが、これはあらゆる競技の歴代女子選手と比較しても1億ドル以上多い。昨年、世界で最も稼いだ女性アスリートは同じく女子テニスのココ・ガウフで、年収は3300万ドル(約52億1000万円)と、男性1位のロナウドの9分の1にすぎなかった。
なお、生涯年収ランキングでは今後数カ月中に10億ドルの大台に手が届くとみられるアスリートが2人いる。1人はカリスマ的なサッカー選手、ネイマールだ。2025年に母国ブラジルのサントスへ移籍したことで年俸は大きく下がったが、スポンサー収入は依然として年間2000万ドル(約31億6000万円)超と推定される。もう1人はF1ドライバーのルイス・ハミルトンで、昨年の収入は推定1億ドル(約158億円)。キャリア通算で約9億4000万ドル(約1485億2000万円)を稼いでおり、次に10億ドルの大台を突破する最有力候補となっている。


