テクノロジー業界で加速する人工知能(AI)への投資は、巨額の売上高と利益を生み出している。同時に、基盤整備には多額の現金が必要だ。マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ(Meta)は計算基盤の整備を進めているが、決算からは事業で稼いだ現金を設備投資が圧迫する実態も浮かぶ。半導体を供給するエヌビディアはすでに大きな利益を得ている。AIへの支出が、投資した企業自身にどこまで持続的な利益をもたらすのかは、なお不透明だ。
AI関連の売上高は伸びても、巨額の投資回収には疑問が残る
マイクロソフトは、リースに関する会計処理の変更を反映し、2026年1~12月の設備投資額を約1700億ドル(約26兆8537億円)と見込む。従来の約1750億ドル(約27兆6435億円)からの引き下げは、外部事業者から調達する計算能力の提供が遅れ、支出時期が後ろ倒しになったためだ。メタは同年に1350億~1450億ドル(約21兆3250億~22兆9046億円)を投じる計画で、アマゾンの現金による設備投資見通しは約2200億ドル(約34兆7518億円)に達する。アマゾンの金額は全社の設備投資であり、AI以外の事業も含む。
※編注:設備投資額の集計基準は企業によって異なる。マイクロソフトは新規ファイナンスリースの元本相当額を契約開始時に設備投資へ計上し、メタはファイナンスリースの元本返済額を含める。アルファベットは有形固定資産の現金購入額、アマゾンは現金による設備投資額を公表しており、単純に同一基準で比較することはできない。円換算は1ドル約158円で計算した。
各社は巨大な売上高と利益を生んでいる。それでもAI競争で後れを取らないための再投資は、世界有数の資金力を持つ企業にとっても採算上の試練だ。フリーキャッシュフローとは、事業で生み出した現金から設備投資を差し引いた資金収支を指す。アマゾンでは設備投資が膨らみ、直近12カ月のフリーキャッシュフローが大幅な赤字となった。
巨額の投資は実を結んでいるのか。財務データからは、まだ明確な答えが出ていない。AIはクラウド事業者や半導体メーカー、既存製品をAIで改良する企業に多額の売上高をもたらしている。しかし、投じた数千億ドル(数十兆円)を回収するまでにどれほどの時間がかかり、最終的にどれほどの利益と現金を生み出せるのかは分からない。資金面の圧力に加え、マイクロソフトが約6万人を対象とする希望退職制度を発表したことは、AI投資が企業の支出の優先順位をどう変えるかという問題も浮き彫りにしている。



