日本の投資家は長年、国内の金利が低すぎるため海外で利回りを追い求めてきた。しかし、ここへきて状況は変わりつつある。
日本政府が先週実施した20年物国債の入札は記録的な需要を集めた。応札額を落札額で割った応札倍率は5.84倍と、この年限の国債の公募入札が導入された1987年以降で最も高くなった。
もちろん、一度の入札結果だけで傾向が変わったとまでは言えない。ただ、日本の投資家の間で、日本国債への需要が全般的に高まってきていることをうかがわせる兆しがあるのも確かだ。
今年4月から8月にかけて、日本の投資家は日本の利付国債を21兆7000億円購入した。これは前年度の通年の購入額の90%近くに相当する金額だ。
同じ5カ月間に、日本の大手銀行と保険会社は残存期間2年以上の日本国債を5兆4000億円買い越した。この買い越し幅は2023年初め以来の大きさだった。一方、海外債券は売り越している。
日本国債が再び買い手を引き寄せている理由は2つある。
1つ目は、利回りが予想インフレ率を上回るようになったことだ。10年物日本国債の利回りは2025年半ば以降、ブレークイーブン・インフレ率(物価連動債との利回り差から算出される市場の予想インフレ率)を上回っており、インフレ調整後の実質利回りは足元で1%近くに達している。これにより、リスクを避ける傾向の強い日本の投資家にとって、購買力を守るための選択肢が国内で生まれている。
2つ目は、米国債と比べて日本国債の投資妙味が増していることだ。為替ヘッジのコストを考慮すると、10年物日本国債の利回りは現在、同年限の米国債を0.8ポイントほど上回っている。
ジャパンマクロアドバイザーズの大久保琢史は、日本の長期国債はしばらく前から魅力的に見えていたものの、投資家は利回りがさらに上昇し、債券価格は一段と下落するのではないかと懸念していたと筆者にコメントした。
「ここ数か月、イールドカーブの長期ゾーンは安定して推移していて、とりわけ、米国債が売られている局面でも落ち着いています。だから年金基金や生命保険会社はようやく、イールドカーブの長い年限の部分に投資する踏ん切りがついたということでしょう」と大久保は解説する。



