みずほ銀行の中島將行も筆者の取材に、今回の入札は転換点になる可能性があるとしながらも、一度の入札結果だけで判断するのは早計だと注意を促した。
日本の20年物国債の市場は5年物国債や10年物国債の市場よりもはるかに規模が小さいため、少数の大口機関投資家によって需要が歪められた可能性もあるというのが主な理由だ。
中島は、海外債券からの構造的な資金シフトが起こるとしても、それにはおそらく時間がかかるだろうとの見方も示した。日本の多くの金融機関では、国内債券と外国債券のポートフォリオを別々のチームが運用しているため、意思決定に時間がかかることがある。
もし今回見られた新たな需要が今後起こることの前触れだとすれば、その影響は日本国内にとどまらないかもしれない。
日本は引き続き米国以外で米国債を最も多く保有する国となっており、その保有残高は8月時点で1兆700億ドル(約169兆円)近くにのぼる。日本の投資家が国内債券への資金配分を増やせば、その分、米国債への需要は減りかねない。
日本国債の利回り上昇は、高市早苗政権の財政問題にもなる。時間がたつにつれて、借り入れコストが上昇してくるからだ。ただし、日本の国債残高の平均残存期間は9.5年ほどなので、金利上昇が予算に反映されるまでには、ある程度の時間的余裕がある。
次の試金石になるのは、イールドカーブのほかの部分でも需要が続くかどうかだ。実際に需要がついてこれば、資金の本格的な国内回帰が進んでいることを示す、より強い証拠になるだろう。


