経営・戦略

2026.10.29 15:15

絶望から希望へ。5年で売上2倍、「急所のない事業体」──ブレイクスルー企業100(第6回)オカムラ食品工業

オカムラ食品工業 代表取締役社長 岡村恒一

オカムラ食品工業 代表取締役社長 岡村恒一

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サーモン養殖と加工、海外卸売を手がけるオカムラ食品工業(2938 東証スタンダード、本社:青森市)が成長を続けている。2026年6月期の売上高は427億円、営業利益は38.7億円で、ともに過去最高。5年前の2021年6月期と比べ、売上高は2.1倍、営業利益は2.6倍になった。国内のサーモン水揚げは2021年の1100トンから3倍の規模に育ち、海外卸売の売上高は5年で4倍超に伸びた。2026年は魚病などで水揚げが計画を下回り、増益分はイクラ相場の高騰と海外卸売が担ったが、翌期は水揚げ5000トンを計画し、2030年6月期には1万トン超、売上高620億円を目指す。
1971年に水産加工品の製造会社として創業し、2002年の火災で自己資本のほとんどを失った過去を持つ青森の企業。同社がなぜ国産サーモン養殖の担い手に育ち、次の成長をどこに見ているのか。代表取締役社長の岡村恒一に聞いた。

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──2023年の上場から3年、売上高は毎年最高を更新し、2026年6月期は利益も過去最高でした。成長を支えているものは何ですか。

岡村恒一(以下、岡村):国内の養殖量の拡大と海外卸売の拡大、この二つを成長エンジンと位置づけ、上場当初からこれを変えていません。土台にあるのは、養殖の生産量を常に上回る需要です。日本では、人口が減っている状況でも消費は増えており、世界でも米国や中国で需要が伸びている。加えて、天然魚が獲れなくなった。北海道の秋鮭は今年は半分ともいわれ、アラスカやロシア海域も不漁です。売り場に並べられるのは養殖魚しかなくなる。安定供給できる原料を求める外食産業にとって、頼りになるのは養殖なのです。

──一方で2026年の国内水揚げは3383トンと、計画の4300トンを下回りました。それでも翌期に5000トンを掲げた根拠は何ですか。

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岡村:減った要因は三つあります。委託先の中間養殖場で冷水病が出て尾数が減ったこと、海面で細菌感染があり給餌を止めた期間に成長が遅れたこと。そして需要の強さからの「早水揚げ」です。中東情勢で欧州からの空輸が滞り、欧州産の生鮮サーモンが減った分の需要が国産に向いた。例えば1尾3.0~3.5キロで揚げる計画が、2キロ台後半で早く出さざるを得なかった。見た目では分からない500グラム程度の差ですが、積み上がると数百トンになる。でも、どれも解決は難しくありません。課題を出し尽くし、新しい需要を捉えた年だったと前向きに捉えています。10月には秋田の泊川(とまりがわ)に自社の中間養殖場(稚魚を育てる養殖場)が稼働し、約1000トン分の上積みが見込める。5000トンは堅い数字です。

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オカムラ食品工業の連結売上高と営業利益。年は各6月期。2027年は会社計画(2026年8月7日発表)、2030年は「中期経営目標2030」(2025年2月公表)の目標値で、2028〜2029年は省略した。※2021年6月期の営業利益は、2022年6月期の営業利益2961百万円と前期比増加額1465百万円(新規上場申請のための有価証券報告書に記載)から逆算した値。2021年6月期は連結初年度。出典:2026年6月期・2024年6月期決算短信、新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)、中期経営目標2030をもとに編集部作成。
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文=坂元耕二 写真=西川節子

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