「広告制作会社×アクセラレーター」の新しい実験がいま注目を集めている。
技術やアイデアはもっているが、それをどうすればビジネスにできるかがわからない—。大学や研究機関には、そうした悩みを持つ研究者は少なくない。
そこに目をつけたのが、米広告エージェシーの「R/GA(アール・ジーエー)」だ。同社は、米アクセラレーターの「Techstars(テックスターズ)」と組み、「R/GAアクセラレーター」という起業支援プログラムを立ち上げている。主にIoT(モノのインターネット)関連の製品を開発しているスタートアップを対象としており、参加者はプレゼンテーションの審査で選抜される。
プログラムでは、R/GAのデザイナーやマーケティング担当者たちが参加者にUX(ユーザー・エクスペリエンス)やビジュアル面でのアドバイスを与え、ブランディングを含めた会社づくりに関してアドバイスをする。一方で、テックスターズは、参加者がメンターやエンジェル投資家に相談できる機会をつくる、という具合に両社で役割を分担している。
選ばれたスタートアップはこうした支援に加え、計12万ドル(約1,400万円)の出資も得る。代わりに、テックスターズは参加起業の株式の6%を取得。R/GAは初期段階では投資しないものの、参加企業が望んだ場合は、転換社債型新株予約権付社債を購入する。これは原石が大化けすると信じての“投資”だ。
従来のように、顧客企業に広告や企画を提案することに留まらず、自社の人材をまったく別の分野の人材と融合させることで「可能性」をプロデュースする。広告エージェンシーの役割が変わろうとしている。
アール・ジーエー R/GA
1977年創業の米広告エージェンシー。共同創業者兼CEOボブ・グリーンバーグの意向により、9年おきにビジネスモデルを変える。映画制作からデジタル広告制作まで、4度も形を変えて現在の広告エージェンシーに。