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2026.10.30 18:00

AI競争でメタはなぜ「カワイイ」を選ぶのか──企業不信・広告効果・人間関係への不安を探る

マーク・ザッカーバーグが手にしている小型機器が、『Muse Charm』。この機器の中にマスコット「Jolly」が登場するという。Photo by Andrej Sokolow/picture alliance via Getty Images

マーク・ザッカーバーグが手にしている小型機器が、『Muse Charm』。この機器の中にマスコット「Jolly」が登場するという。Photo by Andrej Sokolow/picture alliance via Getty Images

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メタ(Meta)は、個人向けAIエージェント「Muse」の顔として、ラブブを思わせるマスコット「Jolly」を発表した。Jollyは、バンダイの『たまごっち』をほうふつとさせる小型機器『Muse Charm』に登場する見込みだ。Museはメールへの返信や食料品の購入、友人とのイベント予定の調整まで代行できる。利用者は提供開始から1カ月余りで1000万人に達した。

だが、より重要なのは、テック企業がAIに「カワイイ(KAWAII)」という印象を与えようとしていることだ。大手テック企業は親しみやすいキャラクターを前面に出し、AIエージェントへの心理的な抵抗や社会の不安を和らげようとしている。

信頼を失った大手テック企業は、AIを親しみやすく見せようとする

なぜメタをはじめとするテック企業は、AI開発競争のさなかにマスコットへ時間と資金を投じるのか。なぜ技術の改善だけに集中しないのか。背景には、大手テック企業に対する社会の信頼が崩れたことがある。米国で大手テック企業を信頼している人は20%にとどまる。

シリコンバレーの起業家は称賛の対象から不信の対象へ

1990年代から2010年代にかけて広がった技術への楽観論は、2026年には大きく後退した。当時、シリコンバレーの企業創業者は、既存の常識を覆す先見性のある革新者として称賛されていた。2010年公開の映画『ソーシャル・ネットワーク』は、世界興行収入2億2400万ドル(約352億円)を記録した。同年、マーク・ザッカーバーグは米誌『TIME』の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれている。

現在の空気は当時とまったく異なる。ドキュメンタリー『監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影』、ベストセラー書籍『ケアレス・ピープル』、映画『The Social Reckoning』が、その変化を映し出している。

大手テック企業やAIに対し、人々は以前より批判的で、不信感も強い。フェイスブックがかつて掲げた標語「素早く動き、物事を壊せ(move fast and break things)」は、以前なら野心的な姿勢を示していたが、現在では警告のように響く。米国人の67%がザッカーバーグを好意的に見ていない。民主党と共和党の支持者の見方が一致する、米国では珍しい例だ。

無断撮影への批判が高まるメタのAIグラスで、著名人との共同デザインを展開

最先端AIの開発企業は、技術への不安を和らげるマーケティング戦略として「カワイイ」という印象を利用する。メタのAIグラスにも似た発想が見られる。女性が本人の同意なく撮影されることへの苦情が増え、SNS上ではAIグラスを「変態メガネ(pervert glasses)」と呼ぶ人が現れた。

メタは、カイリー・ジェンナーとAIグラスを共同デザインし、本人の声を搭載した特別モデルを発売した。BLACKPINKのリサと手がけたモデルには、ペットをモチーフにした限定チャームを組み合わせている。Museでも、技術を怖がらずに接してもらうため、親しみやすい印象を打ち出しているようだ。Jollyはメタの主力AIエージェント技術を象徴する、友好的で親しみやすい「カワイイ」キャラクターとなっている。

注:カイリー・ジェンナーは、化粧品ブランド「カイリー コスメティクス」を創業した米国の実業家

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