顧客や取引先からの理不尽な要求や暴言によって、現場の働き手が心身ともに疲弊するカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラ問題が社会的な関心を集めており、組織として従業員をどう守るかが問われている。こうしたなか、帝国データバンクが全国の企業を対象に実施したアンケート調査により、カスハラをめぐる被害の実態と対策の現状が明らかになった。
それによると、直近1年以内にカスハラや不当な要求などを受けたことが「ある」と回答した企業は15.3%となった。一方で「ない」とする回答は67.2%に達し、前回調査から上昇している。背景には、社会全体でカスハラやコンプライアンスの認知が浸透したことで、問題行動の抑止につながっている側面がある。

しかし、業界によって直面するリスクの差は大きい。一般消費者との接点が多い「小売」では31.1%と3割以上の企業が被害を訴えており、「金融」が26.8%、「不動産」が21.4%、「サービス」が20.3%と、主に個人を相手にする業界で高水準となっている。現場からは「感情的に自分の主観で暴言を吐くなどのカスハラは多数ある。SNSへの不当な書き込みも多い」といった悲痛な叫びや、「顧客の意向に沿えなかった際に罵倒や暴言を受けた」といった生々しい被害の声が寄せられている。さらに、企業間取引が中心の現場でも「取引上弱い立場にある企業である以上、元請けからの多少の不当なハラスメントには、従業員の生活を守るため耐えざるを得ない」など、力関係を背景とした見えにくいハラスメントに苦慮する実態が浮かび上がる。




