経営・戦略

2026.11.04 13:30

2149億円の損失を超えて 千代田化工建設社長が語る脱請負とAI共創戦略

太田光治|千代田化工建設 代表取締役社長 

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「現状では、我々のソリューションでお客様のLNGの生産量が増えたからといって利益の一部を分けてもらうことは難しいですが、事業共創パートナーになることで、我々の技術をお客様はもちろん自社のキャッシュ創出力にもつなげていく。これが、我々が目指すAI活用の方向性です」。25年度の非EPC領域の利益はごくわずかだというが、27年度には純利益ベースで10億円を稼ぎ出したい構えだ。

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このようなビジョンを掲げる背景には、千代田が経験した失敗からの教訓がある。

同社は19年3月期に、米国のLNGプロジェクトの工事遅延などが理由で2149億円の当期損失を計上し、経営危機に陥った。その後は三菱商事主導で経営再建計画を遂行し、社を挙げて大型EPCの請負を中心としたビジネスモデルからの脱却を図ってきた。

「大きな失敗が、地道に一生懸命稼いできた人たちの利益を吹き飛ばしてしまう。それでは会社の体力がつきません。千代田を、いろんな分野で安定的に収益を上げられる会社にしないといけない。事業共創の芽を出すところまでは、何としても実現したい」

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「登山に例えるなら0m地点」

AIは他社の事業共創パートナーになるための「武器」であるのと同時に、人々の能力を拡張するためのツールでもある。これが、太田が率いる千代田の考え方の基本だ。

同社では25年度から、AIの特性と自社の業務の双方を理解し、適切なかたちでDXを推進する社内人材の育成に本腰を入れて取り組んでいる。その中心に位置するのが、自分たちの業務全体を俯瞰し、課題の設定・分析からソリューション提案までを担うことができる「DXコア人財」である。30年までに、現在41人いるDXコア人財を200人に増やす予定だ。DX関連施策の担当部署との橋渡し役である「Digital Officer」や、Digital Officerをサポートするエバンジェリストも部署ごとに任命している。

ビジネス変革を一気呵成に進める千代田だが、登山に例えるとすれば今は何合目付近なのか。太田の評価は「経験と属人的判断に依存する0m地点」と、かなり厳しい。

「各本部が蓄積しているデータを全社で活用できる体制に整えるのが向こう1、2年のチャレンジです。10年後には、AIと共に経営する会社になりたいと思っています」

AIとデータでビジネスの意思決定を加速しながら、キャッシュの創出力と利益率を高める。1990年代に描いた構想は、皆で共に稼ぐ力へとかたちを変えようとしている。


千代田化工建設◎液化天然ガス(LNG)や石油などのエネルギープラントを世界各国で建設する、日本の大手総合エンジニアリング企業。1948年創業。従業員数は3489人(連結、2026年3月31日現在)。

太田光治◎1989年に東京大学大学院工学系研究科を修了後、三菱商事に入社。2019年執行役員プラントエンジニアリング本部長、22年常務執行役員。同年、三菱商事の支援を受けて再建途上にあった千代田化工建設の取締役に就任。24年から現職。

文=瀬戸久美子 写真=淺田 創 ヘアメイク=Kunio Kataoka(AVGVST International)

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