2026年上半期の売上高は約2兆5590億円、製薬大手や大学が顧客
目論見書によると、Anthropicの2026年上半期(1〜6月)の売上高は163億ドル(約2兆5590億円)で、営業損失は6億9300万ドル(約1090億円)だった。ただし、売上高のうちのどれだけを研究向けの製品が稼いでいるのかは、内訳が示されていない。
それでも、顧客の名前は挙げている。米製薬大手のブリストル・マイヤーズ スクイブ、オーストラリアの医学研究機関であるガーバン医学研究所、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)などである。Anthropicはまた、イーライリリーやノボ・ノルディスクといった製薬大手との提携でも話題になってきた。
米航空宇宙局(NASA)も2025年12月、火星探査車パーサヴィアランスの探査ミッションで、走行ルートを決めるのにClaude Codeを役立てた。Claude Codeは、Anthropicのコーディング用AIエージェントである。
WHOはエボラ出血熱の対応にClaudeを使い、報告書作成を1時間足らずに縮めた
Anthropicのライフサイエンス向けのツールは、長期にわたる研究に向けたものばかりではない。Anthropicは目論見書で、世界保健機関(WHO)が、コンゴ民主共和国を中心に現在も続くエボラ出血熱の流行への対応にClaudeを使ってきたことも強調している。
目論見書によると、WHOはClaudeを使って「毎日の状況報告書の作成にかかる時間を、丸1日から1時間足らずに短縮した」。WHOは、感染症の広がり方を予測するモデルを複数走らせて、治療センターを置くのに最適な場所も割り出した。
Anthropicはまた、ゲイツ財団や国際救済委員会(IRC)といった非営利団体と協力し、保健医療のデータを分析しているとしている。分析結果は、感染症の流行をいち早く見つけることや、医療従事者を最も効率よく配置する方法を見極めることに役立てているという。
事故を招きかねないロボット操作、化学兵器や生物兵器への悪用リスク
Anthropicの機械学習モデルを研究に応用すれば、大きな恩恵が見込める。だがそれには、重大なリスクも伴う。とりわけ科学研究の領域ではそうだ。
リスクの1つが、Anthropicのモデルが持つ、ロボットや実験機器を操作できる能力である。モデルの振る舞いが開発者の意図からずれることを「ミスアラインメント」(misalignment)という。目論見書は、ミスアラインメントや意図的な悪用によって、ロボットや実験機器を操作する能力が「身体の傷害、物的損害、高価な機器や実験材料の損傷、あるいは有害物質の放出につながるおそれがある」としている。
さらにAnthropicは、自社のモデルが「化学兵器や生物兵器、その他の危険な兵器の開発を企てる者」の役に立ってしまうおそれがあるとも警告している。Anthropicの共同創業者かつCEOのダリオ・アモデイは、AIが兵器開発に悪用されるリスクに何年も前から警鐘を鳴らしてきた。
悪意ある者への安全対策は「不完全」、回避された過去もAnthropicが認める
Anthropicは、兵器をつくろうとする悪意ある者に対して、技術的な安全対策を講じているとしている。だが同時に、こう警告してもいる。「こうした安全対策は不完全である。想定される脅威の姿が変わっていくにつれ、すでに時代遅れになっているおそれもある。これまでにも回避されたことがあり、今後また回避されるかもしれない。意図したとおりに働かないこともありうる」。


