実店舗で顧客をつかむウォルマート、ネット通販に強いアマゾン
AIエージェントによる買い物は初期段階にあるが、商品を見つけ、調べ、選び、購入するまでの流れを変え始めている。ベイン・アンド・カンパニーは「普及する時期や程度は不確かだが、自律型AIエージェントは検索、広告、個別対応、配送、決済、購入後の支援の仕組みをすでに変え始めている。小売企業が下す選択によって、将来を形作る側になるか、取り残される側になるかが決まる」と指摘した。
全米4600店舗を土台に、ウォルマートは販売経路を増やす
ウォルマートにとって、早期に外部AIと連携する利点は大きい。同社の決算によると、2027会計年度第2四半期における米国事業の売上高は1250億ドル(約19兆6800億円)で、23%がネット通販によるものだった。ウォルマートの競争力の源泉は、アマゾンと違って実店舗にある。全米4600店舗が顧客との関係を支えており、AI経由の買い物を新たに受け入れることが売り上げを伸ばす手段になる。
ネット通販の買い物を始める場所としてアマゾンが首位を維持
対照的に、アマゾンの事業は主にネット上にあり、傘下の食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」は例外的な実店舗事業だ。アマゾンの強みは、ネット上で顧客と直接つながっている点にある。外部のAIエージェントに通販サイトを開放すれば、顧客との結び付きが弱まる恐れがある。
長年、ネット通販の買い物を始める場所として、アマゾンは首位を維持してきた。ベイン・アンド・カンパニーの調査によると、米国時間2026年3月時点で、ネットで買い物を始める際にアマゾンを利用する消費者は69%だった。グーグルは53%、Walmart.comなど他の通販サイトは33%、ChatGPTなど生成AIのチャットボットは8%だった。Museなどの急速な普及によって、消費者が買い物を始める場所は小売企業の予想以上に速く変わる可能性がある。
メタはAIに巨額投資、広告以外の収益源をMuseに託す
ウォルマートの開放戦略とアマゾンの遮断戦略のどちらが有利になるのか、Museが普及初期の期待に応えられるのかは、まだ明らかではない。メタ自身にとっても大きな賭けとなる。同社は2026年、主にAIのインフラ整備と開発に1350億~1450億ドル(約21兆2500億~22兆8300億円)を投じる計画だ。
Museが成功すれば、メタの収益構造が根本から変わる可能性がある。メタの売上高のほぼすべては広告収入で、2026年第3四半期の売上高646億ドル(約10兆1710億円)のうち、631億ドル(約9兆9340億円)が広告によるものだった。Museが購入を仲介することで、メタは広告配信による収益だけでなく、広告で喚起した消費者の関心から生じる商品の購入でも収益を得られるようになる。
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