アマゾンはMuseのアクセスを遮断し、顧客との直接取引を守る
ウォルマートとは対照的に、アマゾンはMuseからのアクセスを遮断した。アマゾンはメタに対し、同社の通販サイトをMuseのサービス対象から自主的に外すよう要請したが、Museはサイトへのアクセスに成功した。テクノロジー情報サイトGeekWireの報道によると、アマゾンはその後、Museが商品検索ページを読み込めないよう、AIなどの自動アクセスを防ぐ仕組みを導入した。
Museでアマゾンにアクセスしようとすると、「許可されていないAIエージェントによる継続的なアクセスは、顧客が同意したアマゾンの利用条件に違反する」という警告が表示される。アマゾンはメタの安全性やプライバシー保護に関する説明にも異議を唱えている。Museが自動化されたエージェントだと明かさずにサイトを閲覧し、顧客のログイン情報を取得・保存しているように見えると主張する。
外部AIがアマゾンの通販・広告事業を脅かす理由
アマゾンは、Perplexity、グーグル、OpenAIなどが提供する外部AIエージェントのアクセスも阻止しようとしてきた。外部AIが買い物の入口になれば、商品販売、広告、物流、有料会員サービス「Prime」で成り立つ事業全体が脅かされるとみている。アマゾンの2025年の小売り関連売上高は5880億ドル(約92兆5800億円)で、広告収入680億ドル(約10兆7100億円)も含まれる。
コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは、AIエージェントが商品の検討を始める段階を変え、小売企業と顧客の直接的な関係を断ち切る恐れがあると指摘する。コンサルティング大手デロイトも、直接の顧客接点を失うことで「利益率、顧客関係管理に必要なデータの取得、ブランドへの忠誠心に重大なリスク」が生じると警告している。
アマゾンは自社アプリから一部の他社ブランドの商品も買えるようにした
アマゾンは顧客との直接的な関係を守るため、独自のAI買い物機能を開発してきた。アマゾンの買い物アプリとウェブサイトで商品を検索・比較できる「Alexa for Shopping」と、アマゾンでは扱っていない一部のブランド商品を購入できる「Buy for Me」だ。Buy for Meでは、利用者がアマゾンの買い物アプリで商品を選んで購入を依頼すると、AIがブランド側のウェブサイトで注文を完了する。外部ブランドの商品でも、利用者はアマゾンのアプリで買い物を始める。アマゾンはネット通販と広告事業を支える顧客との直接的な関係を維持できる。
ウォルマートは、外部AIとの連携による売上増加が、顧客との直接的な関係が弱まるリスクを上回ると見込んでいる。アマゾンは外部AIが商品探しから購入までを取り仕切るようになると、顧客との直接的な関係や広告事業を損なう恐れがウォルマートより大きい。


