経営・戦略

2026.11.02 13:30

大林組の暗黙知を組織知へ変えるAI戦略、DX投資975億円に込めた覚悟

佐藤俊美|大林組代表取締役社長 兼 CEO

佐藤俊美|大林組代表取締役社長 兼 CEO

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Forbes JAPAN 2026年12月号は、AIで人的資本を拡張している「本当に強い会社」2026特集。今回、Forbes JAPANは東京証券取引所に上場している企業のうち、分析に必要なデータを取得できた3,531社を対象に、AIを自社の売上高や利益に結びつける「実装力」を評価する「拡張人的資本ランキング」と、AIやDXへの投資が将来の収益化につながる可能性の高さを評価する「AI/DX先行投資力ランキング」を作成した。AI時代に、「本当に強い会社」とは、どんな企業なのか。上位企業を率いる経営者たちの言葉と具体的な取り組みから、その条件を解き明かす。

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大林組のDX投資の勢いが止まらない。背景にあるのはAIの加速度的な進化と労働力不足だ。先を見通すことが難しい今、AIと人はどう融合し、未来を開くべきなのか。ゼネコンのトップが語る。


大林組のDX関連投資が勢いづいている。「中期経営計画2022」(22~26年度)における5年間のDX関連投資総額は当初、700億円だった。だが、中計の3年目となる24年には900億円に修正。当初予定していた額の1.3倍だ。実績はというと、26年3月期までに725億円を投じている。中計の最終年度である今期の分を合わせると、投資総額は修正後の計画を上回る975億円に到達する見込みだ。

なぜ、ここまで一気にアクセルを踏んだのか。その理由を、社長兼CEOの佐藤俊美はこう説明する。

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「我々のビジネスの中核は国内の建設事業です。建設事業で企業価値を上げていく、その前段階として生産性や安全品質を高めるために必要ならDX関連投資をするという方針で計画を立てました。最低これくらいは投資しないと我々の成長は担保できない、という数字です。最終的に計画を若干上回りそうなのは、1年半ほど前の時点で、今のAIの(進化の)状況を見通せていなかったから。その部分は、躊躇なくプラスアルファで対応している」

DX推進の背景にあるのは労働力不足だ。大林組では、性別を問わず誰もが働きやすい職場環境を整えたり、「4週8閉所」(4週間のうち8日間、建設現場を閉所すること)の現場を増やしたりすることで労働力の争奪戦に対応している。ただ、この先さらに生産年齢人口が減ることを考えれば、業務変革と生産性向上が不可欠だ。

業務変革で重要な役割を果たすのがデータである。業務プロセスを再構築するために、同社では6年前から、AI導入を担うビジネスプロセスリエンジニアリング部(BPR部)が営業前の情報収集から竣工後のメンテナンスまで一気通貫でデータを活用できる基盤づくりを進めている。

「営業や建設現場で一次情報に触れている社員の知見や経験は、我々の競争力の源泉です。ただ、今はそれが個の力に依存している。個に属している知識やノウハウを、AIを活用して組織の知にしていくことがまずは最大の課題だと思っています」

25年にはAIを効果的に活用できる「AI-Ready」の状態になり、部門ごとの取り組みから本社の管理部門へ、さらに建設の中核となる調達へと使用範囲を広げてきた。今年度からは、個人の暗黙知を抽出し、AIが使えるナレッジに変換する取り組みを開始している。

組織内に眠る知を顕在化して活用するのと同時に、組織外からも広くデータを収集し、新たな知を生み出す取り組みも進めている。旗を振るのは、21年に社内シンクタンクとして新設されたマーケットインテリジェンス部(MI部)だ。

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文=村上 敬 写真 =淺田 創 ヘアメイク=Kunio Kataoka(AVGVST International)

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