メディアや一部のクライアントから、いつも同じ質問を受ける。データセンターの建設ラッシュが需要を上回ったらどうなるのか、という問いだ。
何十年もの間、テクノロジーブームの到来と終焉を見届けてきた筆者は、この業界が過剰建設に走るかどうかを疑うことはなくなった。関心があるのは、その次に何が起きるかだ。
現在、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)と増え続ける新規参入企業は、AIデータセンターに前例のない規模の資金を投じている。過剰供給は、業界が公の場で議論したがる話題ではない。しかし歴史は、議論すべきだと示唆している。
1990年代後半、通信会社はインターネットトラフィックが数カ月ごとに倍増すると見込んで、数百万キロメートルもの光ファイバーに投資した。しかし、トラフィックは倍増しなかった。少なくとも、それほど速くは増加しなかった。2001年にはその容量の多くが使われない「ダークファイバー」となり、グローバル・クロッシングやワールドコムは巨額の負債を抱えて2002年に倒産した。
だが、話はそれだけで終わらない。その過剰な帯域幅があったからこそ、YouTubeやNetflix、クラウドコンピューティング、スマートフォンが登場できたのだ。言い換えれば、投資家は損害を被ったが、経済は必要なインフラを手に入れたということだ。
19世紀の鉄道建設ブームも同様の教訓を残している。各企業は需要に先んじて建設を進め、その多くが破綻した。しかし、失敗した鉄道会社が残した鉄道が役に立たないわけではなかった。最初の出資者にとって失敗した投資であっても、後に価値あるものを残すことがあるというのが、その教訓だ。
しかし、今回は大きな違いが1つある
光ファイバーは数十年にわたって役に立ち続けることができる。しかし、GPUクラスタが直面するのは、はるかに速い技術革新のサイクルだ。新世代の半導体が登場すれば、旧型のGPUが物理的に寿命を迎えるはるか前に、最も要求水準の高いワークロードから押し出されてしまう。
AIデータセンターのチップセットが商業的価値を保てるのは、ほんの数年かもしれない。新世代の半導体が旧型を置き換え、最先端の作業において旧バージョンを使用することが不経済になるからだ。



