不快なニオイが存在しなくても不快な気分になり、反対に不快なニオイが存在していても、それほど不快に感じないことがある。そんな一見矛盾するような研究結果が発表された。デオドラント製品を展開するファイントゥデイと京都工芸繊維大学は共同で、目から入る情報がニオイの感じ方に与える影響を調査した。VR(仮想現実)技術を使って日常のさまざまな場面を再現し、周囲の環境によって気分の快適度やニオイの不快感がどのように変化するのかを検証。研究成果は、2026年9月に開催された日本味と匂学会第60回大会と第28回日本感性工学会大会で発表された。
汗臭は「無人電車」の方が不快感を抱きやすい
まず19〜25歳の日本人男女30人を対象に、VR空間で「満員電車」と「無人の電車」を再現した実験を行った。参加者にはそれぞれの映像を見ながら、汗臭がある場合とない場合の2条件を体験してもらい、ニオイの快・不快度と気分の快適度を評価した。

満員条件

無人条件

実験の様子
その結果、汗臭がない条件では、実際には不快なニオイが提示されていないにもかかわらず、無人の電車よりも満員電車の方が気分を不快に感じる傾向がみられた。一方で汗臭がある条件では反対の結果となった。満員電車よりも無人の電車の方が、汗のニオイそのものを不快に感じる傾向が確認されたのだ。研究チームは、満員電車では視覚的な混雑によって注意が分散するなどして、無人の電車と比べてニオイが意識されにくくなった可能性があると考察している。



