AIは、がんとの闘いをもっと効果的なものにしてくれるのだろうか。モデルナは、AIがその期待に応えられるかどうかを、実際に確かめようとしている。個々の患者に合わせた治療薬の設計にAIを役立てるとともに、AIを使って、製薬会社として仕事をどう進めるかを見直しているのだ。
モデルナのやり方は、少ない資源でより多くの成果を上げようとしているあらゆる企業にとって、教訓になる。研究室から法務部門まで、組織のすみずみでAIを働かせるという教訓である。
従業員4700人のモデルナ、メルクやファイザーの約7万5000人とは大違い
2010年に設立されたモデルナは、新型コロナウイルスのワクチンで、一躍その名を広く知られるようになった。それでいて、2025年末時点の従業員数は、わずか4700人である。製薬大手の米メルクと米ファイザーが、それぞれ約7万5000人を抱えているのとは大違いだ。この人数で、次に述べるような野心的な計画を掲げているのだから、なおさら目を引く。
5年で最大15製品を出す計画、AIなら10万人ではなく約6000人で済むと経営陣は見込んだ
モデルナは2024年、今後5年間で最大15の新製品を市場に送り出す計画を打ち出した。モデルナの経営陣は、この目標を従来のやり方で達成しようとすれば10万人の従業員が必要になるかもしれないが、テクノロジーとAIを使えば約6000人で済むとの見方を示した。とはいえ、これは事業の拡大に向けた構想であって、生産性がそれだけ上がることが実証されたわけではない。
モデルナが規模の割に大きな成果を上げている理由の1つは、研究開発から営業、法務、製造に至るまで、事業運営の中心にAIを据えることを徹底している点にある。
では、AIを中心に据えた事業運営とは、実際にはどのようなものなのか。そして、他の企業はそこから何を学べるのか。



