【重要】復旧のご報告セキュリティ対策に伴うメンテナンスおよび会員機能の一時停止について

ビジネス

2026.10.26 12:45

メタのAI「Muse」はiPhoneやAndroidスマホ、パソコンの使い道を変える──最大の難題は収益化

Photo Agency - stock.adobe.com

2026年の設備投資見通しは最大約22兆7400億円、費用回収が課題

メタには広告事業があり、AIに投資するための強固な財務基盤を持つ。ただし、最先端のAIモデルを開発し、世界規模でエージェントを動かすには、多額の費用がかかる。通信ネットワーク、電力、専用プロセッサー、AIを計算・実行する設備、専門的な技術者への投資が必要だからだ。

advertisement

メタが公表した2026年7~9月期の設備投資額は、ファイナンスリース(設備などを借りる契約)の元本返済を含めて349億1000万ドル(約5兆4700億円)だった。2026年通年の設備投資見通しも1350億~1450億ドル(約21兆1700億~22兆7400億円)へ引き上げた。AIは巨大な価値を生み出す可能性を秘めるが、その実現には巨額の費用が先行し、投資を回収できるかも不確かだ。

高い運用費を上回る利益を、どこから生み出せるのか

AIエージェントは大量の状況情報を処理し、外部ツールを使い、何段階にも分けて推論する。そのため、運用費が特に高くなる場合がある。事業として成立させるには、エージェントが生み出す価値をサービスの提供費用より大きくしなければならない。メタは広告事業でAIによる収益改善を数字で示してきたが、新たなAI製品もすべて黒字になるとは限らない。Museには、事業が継続できる採算性、安定した性能、長く使い続ける価値を証明する必要がある。

パーソナルAIエージェントから収入を得る方法は、広告だけではない。企業向けの利用、外部の開発者が関連サービスを作る仕組み、有料AIサービス、商品やサービスの売買などにも可能性がある。ただし、いずれも将来の収入源として期待される段階で、収益を確実に得られる保証はない。エージェントがどれほど頻繁に使われ、どれだけ役に立つかが、収入源としての重要性を左右する。

advertisement

AIエージェントに広い操作権限を与えるほど、攻撃や誤判断による被害が深刻になる

チャットボットからAIエージェントへの移行は、従来のソフトウェアからクラウドへの移行に匹敵するほど、サイバーセキュリティを変えるかもしれない。文章を生成するだけのAIと、ファイル、企業向けアプリ、カレンダー、メール、金融業務の処理手順にアクセスできるAIとでは、危険の性質が異なる。認証情報が盗まれたり、悪意ある指示を与えられたり、判断を誤ったりした際の被害は、AIに許す操作の範囲が広いほど大きくなる。

メタはMuseについて、機密性の高い情報などを扱うエージェントを保護する措置を含め、安全性とセキュリティへの取り組みを説明している。保護策は重要だが、AIが自律的に動く範囲を広げた場合の危険を、たった1つの技術的対策だけでなくすことはできない。

私は以前、フォーブスで、技術革新に合わせてサイバーセキュリティも進化しなければならないと論じた。AIエージェントが登場し、その必要性はさらに高まっている。特に重要なのは、次の3つの原則だ。

企業が守るべき3原則は、身元確認・最小権限・継続監視

第1に、個々のAIエージェントの識別情報を確認でき、誰が責任を負うかを明確にする必要がある。人間の利用者に幅広いアクセス権限があっても、AIに同じ権限を制限なく自動的に与えるべきではない。

第2に、AIにも「最初から信頼せず、必要なアクセスだけを許す」というゼロトラストの考え方を適用する。特定の作業に必要な権限しか与えない「最小権限」の原則に従い、機密性の高い取引や重大な判断には追加の承認を求めるべきだ。

第3に、人が監督し、AIの動きを継続的に監視することが欠かせない。組織はAIエージェントが使ったツール、アクセスした情報、想定から外れた行動を把握できなければならない。AIに不正な動作をさせる指示を外部の文章などに紛れ込ませる「プロンプトインジェクション」をはじめ、悪意あるコンテンツ、認証情報の窃取、許可のない情報開示にも対処する必要がある。AIが助言するだけでなく、実際の操作まで担うほど、身元確認、権限管理、監視の重要性は高まる。

次ページ > 会話や予定まで扱うAI、広告事業を持つメタには個人情報の課題

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事