ビジネス

2026.10.28 11:30

「ChatGPT 広告」で変わる広告戦略──回答システムと広告システムが独立、AI推測の「意図」に入札

Photo Agency - stock.adobe.com

OpenAIは広告選定と回答生成を分け、回答への影響や遅延を防ぐ

ChatGPTの広告システムは、利用者とChatGPTのやり取りを基に広告候補を探す。ただし、広告を選ぶシステムがChatGPTの回答を生成するわけではない。OpenAIは広告選定と回答生成に別々のモデル、コード、サービスを使用しており、両方の処理を並行して進めている。OpenAIによれば、広告が回答内容を左右するのを防ぐための設計だ。広告システムが遅れたり停止したりしても、ChatGPTの回答に影響しないという利点もある。

advertisement

広告が間に合わない場合や会話に合わない場合は表示しない

ChatGPTは広告の処理完了を待たずに回答を表示する。回答が出来上がるまでに広告を用意できなければ、該当する回答の下には広告が表示されない。入札で勝った広告でも会話にふさわしくなければ、オーケストレーターが表示を止められる。OpenAIは広告を一切表示しないことも正常な選定結果と捉えている。

広告は回答の下に掲載し、スポンサー表示で通常の回答と区別する

広告が掲載される場合は、ChatGPTの回答の下に「スポンサー」の表示とともに置かれる。AIが作成する短い説明文には、広告が直前の会話にどう関係するかが示される。OpenAIは広告主が用意した宣伝素材と、AIが作る説明文を分けている。広告主のメッセージとChatGPTの中立的な説明を区別するためだ。

クリックから購入・登録までの効果測定と広告事業の収益

通常の検索広告では、どのキーワードに、いくら入札し、どの品質評価で、どの位置に掲載されるかを広告主が把握できる。ChatGPT 広告には入札前の重要な判断が加わる。AIが広告を掲載する場面かどうかを見極め、どの候補に入札の機会を与えるかを決める。

advertisement

広告効果は表示回数やクリック数だけでは測れない。OpenAIは計測用ピクセルと「Conversions API」という計測APIを提供し、広告経由の購入、見込み顧客の獲得、登録などを測れるようにしている。広告主に示されるのは集計済みの成果情報で、利用者がChatGPTと交わした会話の内容にはアクセスできない。広告主はキャンペーンに応じて、表示回数か有効なクリック数に基づく課金方式を利用できる。OpenAIはサーバーから広告を送信する処理と、利用者の画面に実際に表示された回数を区別する。表示されなかった広告や、Media Rating Council(MRC)の基準を満たさない広告表示には料金が発生しない。

購入や登録など指定した成果につながるよう広告配信を調整する「コンバージョン最適化」という配信方式もある。料金は成果1件ごとに発生するのではなく、有効なクリック数または広告の表示回数に基づいて計算される。広告管理画面「Ads Manager」には成果件数に加え、表示回数、クリック数、広告費が示され、成果1件を獲得するのにかかった費用を算出できる。

あるブランドのクリック率はグーグル検索の約7分の1だった

検索広告の分析企業Adthenaの調査では、ChatGPT 広告を掲載したあるブランドのクリック率は0.91%だった。同じ業界のグーグル検索広告の基準値6.4%と比べて、約7分の1である。2026年4月までに、広告1000回表示当たりの費用(CPM)が25ドル(約3925円)まで下がったという報道もある。OpenAIは2026年8月31日の発表で、クリック単価方式(CPC)と成果を重視した入札方式が、広告キャンペーンの大半を占めると説明している。

年換算約1570億円という広告売上高ペースと、通年売上高予測の違い

OpenAIによれば、ChatGPT 広告の開始から200日未満で、広告売上高の年換算ペースは10億ドル(約1570億円)に達し、10万を超える広告主が出稿した。年換算ペースは、直近の売上高が同じ水準で1年間続くと仮定した数字で、通年の確定売上高ではない。広告業界メディアDigidayの2026年8月31日の初報は、月間約8300万ドル(約130億円)の収入を根拠としていた。2026年8月31日より前には、通年の広告売上高を25億ドル(約3925億円)とする予測も報じられた。通年の売上高予測は、年換算ペースとは異なる指標である。

次ページ > 個人向け広告は何を基に選ばれ、利用者の反応でどう変わるのか

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事